経営管理ビザ

高度専門職と経営管理ビザの違いと変更方法

高度専門職と経営管理ビザの違いについて以下のように考えている方へ

  • 高度専門職について知りたい。そのメリットは何か気になる。
  • 高度専門職と経営管理ビザの違いがよく分からない。
  • 経営管理ビザを持っているが、高度専門職へ変更したい。

 
この記事は、上記のような人に有益です。以下、分かりやすく説明します。どうぞ最後までお付き合いください。

この記事で高度専門職と経営管理ビザの違いについて知ることができること

 この記事では、以下のようなことを知ることができます。

  • 高度専門職とは何か
  • 高度専門職ビザのメリット
  • 高度専門職(1号ハ)ビザを取得する方法
  • 高度専門職ビザと経営管理ビザとの違い
  • 経営管理ビザから高度専門職ビザへ変更するには

高度専門職とは

(1)制度の概要・趣旨、手段

制度の概要・趣旨

簡単に言うと「高度専門職」とは、人材としてハイレベルな外国人を出入国や在留管理上優遇するシステムです。
何のためにそのようなシステムが存在するかというと、高度外国人材の受入れを促進するためです。
 

手段

高度外国人材を優遇するといっても、一体どのような方法によるのでしょうか。
まず、高度外国人材のアクティビティを3つに分類します。具体的には、「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」です。例えば、実績のある大学教授、研究者、経営者等をイメージすると分かりやすいです。なお、これらは、順番に「高度専門職(1号イ)」「同(1号ロ)」「同(1号ハ)」と呼ばれます。

その上で、一定の項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合、優遇措置が与えられます。ここでの項目の例としては、学歴、職歴、年収等が挙げられます。

(2) 高度外国人材の定義

ある公的な報告書によると、高度外国人材はつぎのように定義づけられています。それは、「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」であり、「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、わが国の労働市場の効率性を高めることが期待される人材」というものです。

もっとかみ砕いて言うと、「オンリーワンのハイレベルな人材で、日本の産業をガラっと変えてくれそうで、日本人とお互い高めあって、日本の働く環境をもっと良くしてくれそうな人」です。

そんなスーパーマンのような人は本当に存在するのか疑問に思われたかもしれません。現に、高度専門職1号ハの在留資格を持つ人は日本国内にはたったの数百人しかいません。

(3)高度専門職に対する優遇措置の内容

では、高度専門職について、どのような出入国在留管理上の優遇措置が与えられるのでしょうか。高度専門職1号について、以下説明します。

複数のアクティビティが可能

通常の在留資格の場合、許可された1つの活動をすることしか認められません。高度専門職の場合は、これとは異なって、アクティビティを複数行うことができます。例えば、大学での研究活動プラス関連するビジネスの経営をする等です。

在留期間がマックス

高度外国人材の在留期間は、5年です。これは、法律上最長のタームになります。なお、更新できます。

永住しやすくなる

通常、日本への永住許可を受けるためには、継続して10年以上日本に在留していることが必要です。他方、高度専門職の場合、一定の要件を満たせば、高度外国人材としての活動を引き続き1年以上行っているときに、永住の対象となります。

配偶者の就労

一般的に、配偶者としての在留資格を持っている場合、在留資格「教育」等に該当する活動を行おうとするとき、学歴・職歴等の一定の要件を満たす必要があります。これとは異なって、高度外国人材の配偶者の場合、そのような要件を満たさなくともOKです。ただ、ケースによっては、変更許可申請が必要となることがあります。

親の受入れ

現行のシステムの下では、原則として、親の受入れは認められません。他方、高度外国人材の場合、一定の要件のもとで親の入国・在留が認められます。

家事使用人の帯同

外国人の家事使用人の雇用についても、通常の場合限定的に認められるに過ぎないのに対し、高度外国人材の場合はより広く認められます。

よりスピーディーな入国・在留手続

高度外国人材に対する入国・在留審査も、他と比べて優先的にスピーディーに処理してもらえます。具体的には、以下です。

  • 入国事前審査 → 申請受理後10日以内。
  • 在留審査 → 申請受理後5日以内。

高度専門職(1号ハ)の要件

(1)高度専門職(1号ハ)とは?

では、さらに高度専門職のうち後述する経営管理ビザに近い1号ハにフォーカスします。これはどのような在留資格かというと、相当規模の企業の経営者等がその企業の経営・管理活動(高度経営・管理)に従事する場合に与えられることが典型的に想定されているものです。

(2)審査基準

ポイント制

高度専門職(1号ハ)の審査方法としては、一定の項目ごとに設定されたポイントの合計が70点以上であることが求められる点が特徴です。具体的な項目としては、学歴、職歴、年収、年齢があります。さらに、高度専門職(1号ハ)の場合、報酬年額合計が300万円以上であることも必要です。

どんな資料があればよいか(疎明資料)

上記ポイントを満たすことを疎明するための手段として、具体的には以下のようなドキュメントを用意することになるでしょう。

  • 学位取得を証する文書
  • 年齢を明らかにする文書
  • 研究実績を明らかにする文書
  • 業務に関連する日本の国家資格等の証明書 etc.

高度専門職ビザと経営管理ビザとの違い

高度専門職ビザ(1号ハ)について知るにつれ、経営管理ビザと似ていると気づいたかもしれません。そこで、それらの違いについて簡単に説明します。

(1)優遇措置が違う

まず、高度専門職ビザ(1号ハ)は、経営管理ビザのアップグレード版と言えるでしょう。高度専門職ビザは、経営管理ビザよりも在留期限や審査期間、配偶者の就労や親の帯同、永住許可申請の緩和等の面で優遇されます。具体的な優遇措置の内容については、3(3)をご覧ください。

(2)可能なアクティビティが違う

経営管理ビザの場合、在留資格の対象となる活動から除外されているものがあります。それは、「法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないとされている事業の経営又は管理に従事する活動」です。弁護士事務所を経営する活動と言えば分かりやすいのではないでしょうか。

これとは異なって、高度専門職ビザ(1号ハ)の場合、上記のような除外はありません。よって、例えば個人事業主として外国法事務弁護士事務所を経営する活動も、高度専門職ビザ(1号ハ)でカバーされる活動となります。

経営管理ビザから高度専門職ビザ(1号ハ)へ変更するには

(1)変更に必要なこと

(3)で述べた通り、高度専門職ビザについては様々なメリットがあります。よって、もしも70点以上のポイントがあるならば、在留資格「高度専門職」(1号ハ)への変更がおすすめです。

その場合、高度専門職ポイント計算表で70ポイント以上あることに加え、予定年収が300万円以上あることが必要です。この点については、4(2)で述べた通りです。
 

(2)提出する書類

在留資格「高度専門職」のビザに変更する場合、70点以上のポイントがあるポイント計算シートを提出する必要があります。さらに、4(2)でも既述した各ポイントを疎明するための資料も準備して提出しなければなりません。

高度専門職と経営管理ビザの違いと変更方法のまとめ

以下がこの記事のエッセンスです。

  • 在留資格「高度専門職」とは、ハイレベルな人材についてのビザ。様々な優遇措置が定められている。
  • 高度専門職(1号ハ)ビザを取得するには、高度専門職ポイント計算表で70ポイント以上あること及び報酬年額合計が300万円以上であることが必要。
  • 高度専門職ビザと経営管理ビザとは、優遇措置の内容や対象となる活動が異なる。
  • 経営管理ビザから高度専門職ビザへ変更するには、高度専門職ポイント計算表で70ポイント以上あること及び報酬年額合計が300万円以上あること、そして、それらの疎明資料を提出する。
この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】

国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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