経営管理ビザ

共同経営で【経営管理ビザ】を取得するには?

経営管理ビザ共同経営サムネ

「友人と一緒に日本で起業したい」。そう考えている人は少なくありません。そのためには経営管理ビザという在留資格が必要です。そこで気になってくるのが、経営管理ビザの申請をするに際し、共同経営という事実はどのような影響を及ぼすのかという点です。それともそんなことは全然気にしなくてもいいのでしょうか。

この記事で経営管理ビザについて知ることができること

  • 共同経営する場合の経営管理ビザの取得についての取扱い
  • 共同経営の場合の経営管理ビザの付与に関し審査されるポイント、注意点やその対策例
  • 経営管理ビザを共同経営で取得した事例

共同経営したい

(1)問題となる点

2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合、経営管理ビザの取得についてどのような取り扱いがなされるのでしょうか。例えば、外国人が複数人で会社を起業し、それぞれが経営管理ビザを取得したいケースや既に営まれている会社に新しく役員として就任し、経営管理ビザを取得したいケースなど、共同経営において経営管理ビザを取得したいケースも発生するかと思います。

そこで、以下、共同で事業を起こした複数の外国人が、他に従業員がいない状況で、それぞれ役員に就任する場合において、経営管理ビザの付与に関しどのようなポイントが審査されるのかを、注意点やその対策例等も踏まえつつ説明します。なお、以下は、出入国在留管理庁が令和4年10月に策定し令和5年4月に改訂した文書に基づいています。

(2)2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の取扱いについて

実質的な参画

「経営・管理」の在留資格に該当するためには、要するに経営管理ビザをゲットするためには、その外国人が事業の経営又は管理(以下、単に「経営等」ということがあります。)に実質的に参画していることが求められます。具体的にどのようなアクティビティがこれに当たるかというと、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動です。よって、単に役員に就任しているということだけでは、経営管理ビザはもらえません。

複数の外国人が経営等を行う合理的理由

また、複数の外国人が事業の経営等に従事する場合、それぞれの外国人の活動が「経営・管理」の在留資格に該当すると言えるためには、その事業の経営等を複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があります。その合理的な理由の有無を判断する際のポイントは、その事業の規模、業務量、売上等です。

実際には,従事することとなる具体的な業務の内容,役員として支払われることとされる報酬額等を勘案し,これらの外国人の行う活動が事業の経営又は管理に当たるものであるか否かを判断することとなります。
    
この点、新規会社は通常事業規模が小さいことが多いため、上記要件は厳しいということになります。

各自の業務内容の明確性

さらに必要な条件として挙げられているのは、事業の経営等に係る業務について、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていることというものがあります。例えば、その会社に複数の役員がいるとき、例えば人事総務担当役員、財務担当役員等それぞれの担当業務が定められているような分担です。

この点に関し、経営管理ビザについて注意点があります。それは、複数の役員ごとの担当業務があいまいで明確に分けられておらず複数の役員が行う業務が重複するような場合、ビザが不許可になるリスクが高まります。

このようなリスクを避けるための方策例としては、単純ですが、各役員ごとの担当業務を明確に区別しておくというものが考えられます。

報酬を受けることになっている

経営管理ビザを取得しやすくするためには、さらにそれぞれの外国人が経営等に係る業務の対価として報酬額の支払いを受けることとなっているというような条件を満たすとよいでしょう。各役員につき一人当たり25万円以上の報酬を維持することをお勧めします。

共同経営の場合の基準

上記の考え方を更に具体化すると、次のようになります。
 

  1. 事業の規模や業務量等の状況を勘案して,それぞれの外国人が事業の経営又は管理を行うことについて合理的な理由が認められること
  2. 事業の経営又は管理に係る業務について,それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること
  3. それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として報酬額の支払いを受けることとなっていること等の条件が満たされている場合

以上の場合には,それぞれの外国人全員について,「経営・管理」の在留資格に該当するとの判断が可能といえます。

(3)パターンごとの対策例

以上を踏まえつつ、さらに経営者のメンバーの属性に応じた対策例を以下に示します。

外国人1名と日本人1名で共同経営する場合

  • 出資額の合計が500万円で要件満たす
  • 外国人が実質経営権を持つように出資することが望ましい
    (3分の2以上の決議権を持つように出資する)

外国人2名で共同経営する場合

  • それぞれ出資額500万円以上必要
  • 出資額がおおむね均等になるようにする
  • 経営に関する役割分担や利益の配分を明確にし、経営上の決定権に偏りがない様にする

経営管理ビザを共同経営で取得した2つの事例

ご参考に経営管理ビザを共同経営で取得した具体的な事例を2つご紹介します。

【事例①】

外国人A及びBがそれぞれ500万円出資して,本邦において輸入雑貨業を営む資本金1000万円のX社を設立したところ,Aは,通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり,Bは,輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは,海外取引業務の面から,Bは,輸入品の管理及び経理面から,それぞれにX社の業務状況を判断し,経営方針については,共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は,事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

【事例②】

外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を出資して,本邦において運送サービス業を営む資本金1400万円のY社を共同で設立したところ,運送サービスを実施する担当地域を設定した上で,C及びDがそれぞれの地域を担当し,それぞれが自らの担当する地域について,事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は,C及びDが合議で決定することとし,C及びDの報酬は,事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

共同経営で【経営管理ビザ】を取得することについてのまとめ

この記事のエッセンスを掲載しておきます。

  • 共同経営の場合、経営管理ビザの審査基準は決して低くはない。例えば、複数の外国人が経営等を行う合理的理由の説明が必要。
  • 出資額や経営権、役割分担を意識する必要がある。
この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士
湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
国際結婚&配偶者ビザサポートセンター https://visa-saitama.net/
帰化申請サポートセンター https://visa-saitama.net/kika/
就労ビザサポートセンター https://touch.or.jp/work/
永住ビザサポートセンター https://touch.or.jp/eizyu/
ビザサポートセンター https://www.yuda-office.jp/