経営管理ビザ

よくわかる外国人起業活動促進事業を使った特定活動ビザ

特定活動ビザについて以下のように考えている方へ

  • 将来、日本に行って、会社を経営したい。まだ日本には住んでいないが、ビザの申請をしたい。
  • 近い将来日本に行って起業する予定がある。起業準備のための準備期間が少しほしい。
  • スタートアップビザに興味がある。
  • 外国人起業活動促進事業について知りたいが、システムが複雑でよく分からない。
  • 外国人起業活動促進事業・在留資格「特定活動」について、どういうメリットがあるのかよく分からない。
  • 外国人起業活動促進事業と通常の経営管理ビザとの違いがよく分からない。
  • 経営管理ビザに興味がある。

この記事を読んでいる人の中には、上記のように考えている人もいるでしょう。この記事は、そのような人々に役立つ記事となっています。

特に外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザについては、インターネット上であまり情報が見つからないし、行政のウェブサイトは必ずしも分かりやすいとはいえません。

類似のシステムもあるうえ、自治体のプログラムがいろいろとあり、混乱しやすいといえるでしょう。そのうえ、使われる用語が難しくて長くて分かりにくい。そうこうしているうちに、結局何が何だか分からない、結局自分にとってメリットがあるのかないのかすら分からない。そんな状況に陥ってしまったとしても不思議ではありません。

さらに、仮に的確に情報をゲットし理解できたとしても、ちょっとしたことで失敗してしまうというリスクもあります。
そこで、この記事を読むことによって、外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザについて的確に理解しましょう。

この記事を読んだらスムーズに理解できます。なるべく情報を簡素化し、難しい用語をかみ砕いて説明します。読み終わったら今後自分がどうしたらいいのか、頭の中が整理されるでしょう。

この記事で特定活動ビザについて知ることができること

この記事では、以下のようなポイントを知ることができます。

  • 外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザのエッセンス
  • 外国人起業活動促進事業とは、何のためのものか
  • 外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザのメリット
  • 外国人起業活動促進事業による特定活動ビザが向いている人・向いていない人
  • 外国人起業活動促進事業の概要
  • スムーズに起業準備活動計画を書くには

特定活動ビザのエッセンス

  • 「外国人起業活動促進事業」
  • 「在留資格(特定活動)」

このように単語だけを並べてみても、何のための、そしてどのようなシステムなのかなかなか見えて来ません。そこで、まずエッセンスを言ってしまうと、これは、外国人起業家を日本に呼び込むために一定のビザを与えるというプロジェクトです。

ちょっとしたことですが、名前です。「外 国 人 起 業 活 動 促 進 事 業」!とても長くて分かりにくいです。しかし、単語を一つ一つ分解すると、実はたいしたことはありません。この後もっと理解しやすくするために、簡単にここで分解してみますね。

まず冒頭の3文字の「外国人」。これは、おおざっぱに言ってしまうと、外国人が対象のプロジェクトということです。その次の2文字の「起業」。これは、別に難しくないです。ビジネスを新しくスタートさせることです。

さらに見ていくと起業の後が「活動」となっています。起業するにあたってはいろいろ準備が必要です。例えば、事務所を借りたり、関係者と打ち合わせをしたり等。そのようなアクティビティを「活動」として表現しているのだと読むことができます。そうすると、最後の4文字「促進事業」ですが、プロモーションと思えばわかりやすいです。以上をすべてつなげてみると、「起業に向けたアクティビティに関するプロモーション。対象は、外国人です。」となります。

外国人起業活動促進事業の制度趣旨

何のためにそのようなプロジェクトが作られたのでしょうか。それは、一定のエリアで起業を目指す外国人による起業準備を促進することで、外国人起業家を日本に呼び込み、結果として日本の産業の国際競争力を強化&インターナショナルな経済活動の拠点を形成することを目指したいからです。

この記事を読んでいるみなさんの中にも日本での起業に興味がある人もいると思います。そんなみなさんにとって、この外国人起業活動促進事業は、みなさんをサポートしてくれるものです。

外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザのメリット

多くの人が疑問に思うことは、外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザのメリットです。なんだか名前が長いし、よくわからないけど、自分にとってメリットがあるのかないのか。まずその点を確認したいと思うことはとても自然なことです。そこで、以下、この制度のメリットについて説明します。

(1)経営管理ビザ(「経営・管理」の在留資格)のハードル

突然ですが、経営管理ビザという言葉を聞いたことはありませんか。日本で事業を経営したりするために必要なビザです。その経営管理ビザを取得するためには、以下のようなハードルがあります。

  • 事務所の開設
  • 2名以上の常勤職員の雇用

Or
500万円以上の出資 etc.

これらの要件をクリアするのは決して簡単ではありません。しかし、日本で起業等するからには、他の適切な在留資格がない限り、この経営管理ビザが必要となってきます。

(2)起業を準備するための在留資格

そうだとすると、できれば日本に住みながら、それらの起業に必要なタスクを処理できた方がよりスムーズだと考える人もいることでしょう。それを可能にするのがこの外国人起業活動促進事業に関するビザです。要するに、外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザは、上記特定活動ビザのエッセンスの経営管理ビザの特例です。

これにより、最長1年間の入国・在留が認められます。
在留資格「特定活動」が認められることにより、様々な起業準備活動を行うことができるという点がメリットです。
さらに、後述するようにこのシステムの中の1つの制度である地方公共団体による「起業準備活動計画確認証明書」があれば、「経営・管理」ビザの認定にプラスに働きます。

この証明書さえあれば必ず経営管理ビザがもらえるというわけではありませんが、経営管理ビザを取得する可能性を少しでも上げることができるという点もメリットと言えるでしょう。

(3)通常のビザとの違い

通常の在留資格の認定と、外国人起業活動促進事業を活用した場合とで、何が違うのでしょうか。
通常の在留資格の認定は出入国在留管理局で行われます。他方、外国人起業活動促進事業の場合、出入国在留管理局だけでなく一定の地方公共団体の確認をも受ける必要があります。詳しいシステムは、後述します。

外国人起業活動促進事業による特定活動ビザが向いている人・向いていない人

(1)オールマイティではない

以上を踏まえ、外国人起業活動促進事業による特定活動ビザが向いている人とそうでない人について、明確にしておきます。実は、外国人起業活動促進事業による特定活動ビザは、ありとあらゆる外国人起業家に向いているわけではありません。そうだとすると、気になってくることは、この外国人起業活動促進事業による特定活動ビザが自分にとって望ましいのかそうでないのかということです。その点について、以下で整理します。

(2)外国人起業活動促進事業による特定活動ビザが向いていない人

すでに「経営管理ビザ」の認定を受ける要件を満たしているという人は、何もわざわざ遠回りする必要はありません。その場合は、このシステムを使わずに直接入管で経営管理ビザの認定を受けることが推奨されています。

(3)外国人起業活動促進事業による特定活動ビザを検討してもよさそうな人

(2)とは異なって、外国人起業活動促進事業による特定活動ビザを検討することができそうなケースは、外国人起業活動促進事業の対象エリアで事業をスタートすることを考えていて、1年以内にその準備が完了する見込みがある場合です。

このあたりは、一人一人の状況により判断が異なってくるところだと言えるでしょう。この記事の情報を踏まえた上、自分の状況から判断することになるでしょう。

外国人起業活動促進事業の概要

外国人起業活動促進事業、そして、それに基づく在留資格「特定活動」について大まかに把握できましたでしょうか。では、つぎに、いよいよそのシステムについて見ていきましょう。若干複雑ですが、まずは大まかなものからより具体的なものへとシステムを説明していきます。

(1)関与する行政組織

3つの行政組織

外国人起業活動促進事業のシステムが複雑に思える原因の一つは、関与する行政組織が複数あるからです。具体的には、以下の3つです。

  • 地方公共団体
  • 経済産業省
  • 地方出入国在留管理局

これらの3つが協同してそれぞれ作業をすることにより、最終的にビザが付与されることになります。では、具体的にどこがどのような作業をするのでしょうか。その点について、以下で説明します。

どの組織が何をするか

第一に、地方公共団体は、外国人起業家に向けられた管理・支援プログラムを作成・実施し、外国人を選定します。
第二に、経済産業省は、上記の地方公共団体が作成したプログラムを認定します。
第三に、地方出入国在留管理局は、ビザ(在留資格「特定活動」)の審査と許否の決定をします。

(2)最終的に経営管理ビザを取得するまでのフロー

上記3つの行政組織プラス外国人起業家とが相互に関連し合いながらプログラムが組み立てられていて、最終的なゴールである経営管理ビザの取得へのフローが定められています。以下、そのフローをたどっていくことにしましょう。

ビザの期間

外国人起業活動促進事業に基づく特定活動ビザについて、どのくらいの期間日本にいられるのか気になるところです。この点、最長1年間です。ただ、6か月後に更新が必要です。そのことが上記プログラムにどのように反映されているのか、以下で説明します。

管理支援プログラムの流れ

概して、外国人起業活動促進事業に係るビザである在留資格「特定活動」は、どのようなアクティビティを可能にさせるものかというと、地方公共団体による管理・支援の下で行う起業のための活動です。その期間については、最長1年間です。イメージとしては、6か月のビザを取得する手続きが2回あるというような感じです。

以下、外国人起業家の視点からいつ何をどのようにすればよいのか、内閣府及び横浜市によるデータを基に流れをたどることにします。

具体的な手続きの流れ

第一に外国人起業家としては、プランを地方公共団体に提出します。つまり、これからビザを取得して日本でビジネスをする予定ですが、その内容を明らかにします。ちなみにそのプランは、「起業準備活動計画」と呼ばれます。

第二に地方公共団体です。地方公共団体は、受け取った起業準備活動計画をチェックし、証明書(起業準備活動計画確認証明書)を出してくれます。そうしたら、それを含めたビザの申請書類を地方出入国在留管理局に提出しましょう。そうすれば、同局からビザ(在留資格「特定活動(6月)」)が得られることでしょう。ただし、外国人起業活動促進事業による特定活動ビザが向いていない人で前述の通り、在留期間は6か月。その間に、その外国人起業家は、6か月間地方公共団体による管理・支援の下、起業準備活動を行うことになります。

第三に更新です。手続きの流れは、先ほどと類似しています。上記6か月の満了前に、起業準備活動計画(更新用)の確認を受ける必要があります。ここでは、地方公共団体がビザを更新してから6か月以内に、いわゆる経営管理ビザの要件を満たす見込みがあるかどうかをチェックします。それを経て、地方公共団体は、証明書(更新用)を交付します。そして、外国人起業家は、地方出入国在留管理局を経由して在留資格「特定活動(6月)」を取得することになります。

スムーズに起業準備活動計画を書くには

(1)起業準備活動計画を作成する必要がある

ここまで外国人起業活動促進事業について、管理支援プログラムの内容を見てきました。
ここまで読んできた人は、気になることがあるのではないでしょうか。外国人起業活動促進事業に関する特定活動ビザに興味がある人ならだれでも疑問に思うことがあります。それは、上記で既述した「起業準備活動計画」です。

なにやら計画書のようなものを作って提出しなければいけなさそうだ、ということに気づいた人もいるでしょう。横浜市によると、同計画書が十分でないと認められる場合、「起業準備活動計画確認証明書」を発行できないとされています。これはビザをゲットできるかどうかにかかわりかねない問題なので、無視できません。

そうすると、当然問題となってくるのが、一体どんなことを書けばいいのかということです。この点に関しては、地方公共団体がどのようなポイントをチェックするのかという観点から考えていくとスムーズです。以下で詳しく述べます。

(2)起業準備活動計画の書き方のポイント

起業準備活動計画を作成するときは、以下のようなポイント意識して書くとよいでしょう。ここでは横浜市の例を参考にしていますが、みなさんが提出する予定の自治体のホームページ等にも類似の記載があるかもしれません。よって、その情報も一読したいところです。

  • 日本で行う予定のビジネス
  • どこでそのビジネスをやるか
  • その事業をスタートするに当たり、どういう準備や活動をする予定か
  • その事業を始めるまでの間にどの程度の資金が必要か。また、その資金をどうやって調達するか。
  • 事業所(オフィス)について、どこに、そして、いつオープンさせるか
  • どれくらいのスケールのビジネスをする予定か
  • 事業をスタートするまでの間、ちゃんと住む場所を確保しているか。また、その間の生活費は十分あるか。

まとめ

この記事を読んで頭の中が整理されたのではないでしょうか。以下、ポイントとなることをまとめておきます。

  • 外国人起業活動促進事業とは、外国人起業家を対象とした起業に向けたアクティビティに関するプロモーションである。
  • 外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザにより、最長1年の入国・在留が認められる。
  • 経営管理ビザの認定にプラスに働く。
  • 外国人起業活動促進事業の対象エリアで事業をスタートすることを考えていて、1年以内にその準備が完了する見込みがある場合なら、外国人起業活動促進事業による特定活動ビザを検討する価値がありそう。
  • 地方公共団体、経済産業省、地方出入国在留管理局とが協同することにより最終的にビザが付与されるという仕組みをとっている。
  • 外国人起業活動促進事業を活用した特定活動ビザを取得するためには、「起業準備活動計画」を作成し、地方公共団体による確認を受ける必要がある。
  • 起業準備活動計画を作成するにあたっては、自分が目指す事業について的確に説明できるようにしたい。
この記事の監修者
行政書士法人タッチ代表行政書士
湯田一輝
2018年8月ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチhttps://touch.or.jp/
国際結婚&配偶者ビザサポートセンターhttps://visa-saitama.net/
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