経営管理ビザを取得して日本で会社を設立したいと考えている外国人の方は、会社形態を何にするか悩むのではないかと思います。会社の種類は4種類ありますが、その中でも「株式会社」にするか「合同会社」にするかで悩む方が多いと思います。このページでは株式会社と合同会社の違い、それぞれの設立の流れ、メリット・デメリットについて紹介します。
経営管理ビザの会社設立準備時に参考にしていただければと思います。
目次
株式会社とは
株式を発行して資金調達をし、そのお金で経営を行っていく会社です。儲かったお金は出資した「株主」に配当という形で支払ったり、更に事業を成長させ、より良いサービスを提供するための再投資に使ったりします。
合同会社とは
2006年、新会社法により設置された会社形態の一つです。特徴として,会社に出資している人が経営も行います。そのため会社の意思決定は、経営をしている者の会議で決定するので迅速で柔軟な経営になります。
株式会社と合同会社の違い
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
定款認証 | 50,000円 | 不要 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
代表肩書き | 代表取締役 | 代表社員 |
役員になる要件 | 特になし | 出資が必要 |
役員の任期 | 10年 | 任期なし |
社会的信用力 | 高い | やや低い |
決算の公的義務 | あり | なし |
上場の可能性 | あり | 不可能 |
株式会社設立の流れ
- 定款作成
- 定款認証
- 会社の印鑑を作成
- 資本金の払い込み
- 法務局へ法人設立登記
- 各所への届出
- 経営管理ビザの申請
①定款作成
会社の基本事項を決めて文書にする
- 会社名
- 会社本店の所在地住所
- 事業目的
- 発起人
- 発行可能株式総数
②定款認証
- 公証人役場で定款の認証を受けます。
※設立会社の本店所在地を管轄する公証役場で認証する必要があります。
③会社の印鑑を作成
- 法務局での設立登記の際に必要となります。
④資本金の払い込み
- 必ず公証人役場で定款認証を受けてから、発起人の個人口座に振り込みます。
⑤法務局へ法人設立登記
- 登記申請日が、会社設立日となります。
⑥各所への届出
- 税務署、市区町村、都道府県、年金事務所に法人設立に関わる様々な届出が必要になります。
- 開始する事業に応じて許認可の取得が必要
(例:飲食店を開業する場合は飲食店の営業許可が必要)
⑦経営管理ビザの申請
合同会社設立の流れ
- 定款作成
- 出資金の払い込み
- 法務局へ法人設立登記
- 各所への届出
- 経営管理ビザの申請
①定款作成
- 会社の基本事項を決めて文書にする
- 商号
- 会社本店の所在地住所
- 事業目的
- 社員(出資者)の氏名や名称と住所
- 社員の会社債務への責任について
- 社員の出資金
②出資金の払い込み
- 発起人となる方の個人名義の銀行口座に定款に記載した社員(出資者)となる方が出資金の払い込み、払込証明書を作成します。
③法務局へ法人設立登記
- 登記申請日が、会社設立日となります。
④各所への届出
- 税務署、市区町村、都道府県、年金事務所に法人設立に関わる様々な届出が必要になります。
- 開始する事業に応じて許認可の取得が必要
(例:飲食店を開業する場合は飲食店の営業許可が必要)
⑤経営管理ビザの申請
株式会社のメリット
社会的信用が高い
株式会社は社会的にも認知度が高いことから、金融機関からの融資や人材採用の募集など様々な面で合同会社より有利です。
株を発行して多額の資金を集めることができる
株式を使った様々な資金調達の方法があり、調達した資金は原則返す必要はありませんので一定のお金を確保し続けることが可能です。
株式会社のデメリット
合同会社と比べて設立費用が高い
株式会社と合同会社の設立費用は以下のとおりです。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
定款収入印紙代 ※電子定款にすると印紙代不要 |
40,000円 | 40,000円 |
定款認証料 | 50,000円 | なし |
定款謄本代 | 2,000円 | なし |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
設立手数料 ※司法書士に依頼する場合 |
司法書士による | 司法書士による |
合計 | 242,000円~ | 100,000円~ |
決算の公的義務がある
毎年決算期ごとに決算の数字を公表する義務があり、掲載料がかかる
役員任期がある
株式会社の役員の任期は最長10年です。再任された場合でも登記が必要になり、登録免許税がかかります。
合同会社のメリット
株式会社と比べて設立費用が安い
※上記参照
手続きが簡単
公証人役場での定款認証がないので簡単な手続きで済みます。
決算の公的義務がない
決算公的義務がないので掲載料を節約できます。
合同会社のデメリット
社会的信用が低くみられがち
株式会社より社会的認知度が低いので、融資を受けれない、一般のお客さんから信用されないといった可能性があります。
上場できない
合同会社は株式の概念がないため上場できません。将来的に上場を検討される場合は株式会社に形態を変更する必要があります。