「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性
就労ビザの一つである「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う・・・業務に従事する活動」について認められます。
ここで「本邦の公私の機関」とは何を指すのかが問題となります。
「公私の機関」
(1)「機関」には、契約の主体・事業の主体となるものが該当します。最も代表的なものは法人ですが、自然人・任意団体なども「機関」に該当するといえます。ただし、自然人の場合には、後述する事業の安定性・継続性の立証が実務上困難であることが多いです。
「公私」は公的または私的であることを指します。
したがって、「公私の機関」に当たる代表例としては、会社・国・地方公共団体・独立行政法人・公益法人などが挙げられます。外国の会社・国・地方公共団体なども該当します。
以上の考えから、会社内の単なる一個人や、単なる支店・支社などは「公私の機関」には該当しないといえます。なぜなら、会社内の単なる一個人や単なる支店・支社が他者と契約を締結した場合、その契約の主体は一個人や支店・支社そのものではなく、所属している会社になるからです。
(2)また、国・公立の機関以外の機関の場合には、行う事業に適正性・安定性・継続性が要求されます。国や公立の機関と異なり、一般の機関は、事業の適正性・安定性・継続性が類型的に担保されているとは言えないためです。
ア 事業の適正性
法令を遵守していることが求められます。例えば、事業を行うについて必要な許認可を得ていることをいいます。
イ 事業の安定性・継続性
売上げ、利益、組織の形態、組織の規模、設立からの年数などいった要素から総合的に判断されます。
前述した通り、自然人の場合には、事業の安定性や継続性を証明する資料が乏しく、立証が実務上困難である場合が多いです。
「本邦の」
日本の機関か外国の機関かを問わず、日本内に事業所等があれば「本邦の」という要件に該当します。
「本邦の公私の機関」の具体例
・日本に事業所を有する日本の会社
→「本邦の公私の機関」に該当する
「本邦の公私の機関」の典型例であり、問題なく該当します。
・日本に事業所を有する外国の会社
→「本邦の公私の機関」に該当する
会社であるため「公私の機関」には問題なく当たります。
また、外国の会社であったとしても日本に事業所があるため「本邦の」という要件も満たします。
・日本に事業所を有しない会社
→「本邦の公私の機関」に該当しない
日本に事業所がない以上、「本邦の」という要件が満たされません。
・日本においてリモートで就労を行うが、日本に事業所を有しない会社
→「本邦の公私の機関」に該当しない
たしかに外形上は日本で事業を行っている会社であるため、「本邦の公私の機関」に該当するようにも思えます。
しかし、あくまでも日本に事業所を有していない以上、「本邦の」という要件が満たされず、「本邦の公私の機関」には該当しません。
この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士
湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
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