専門学校卒業者(外国人)が技術人文知識国際業務を取得するには

専門学校を卒業して日本で就職する外国人のほとんどは、技術人文知識国際業務の在留資格の取得が必要になります。まず前提として、技術人文知識国際業務の学歴要件を見ていきます。

□学歴要件

・大学(短大含む)を卒業したもの

大学は日本、海外の大学どちらでも構いません。

・専門学校を卒業したもの

専門学校の場合は、日本国内の専門学校である必要があります。 

専門学校卒業者(外国人)を技術人文知識国際業務で雇用するには

専門学校卒業者は入国管理局の定める学歴要件を満たしています。ただし、日本の専門学校以上を卒業していることが求められます。海外の専門学校では要件を満たしません。専門学校を卒業しての技術人文知識国際業務の在留資格の取得は大学卒業者の申請に比べて難易度は高くなります。

専門学校での専攻科目と職務内容との関連性について

大学卒業者の申請では、従事する職務内容と大学で学んだ科目との関連性は緩やかに見てもらえる場合が多いですが、日本の専門学校が最終学歴の場合は、従事する職務内容と専門学校で学んだ科目との関連性が狭くみられます。つまり専門学校卒の場合は専門学校で学んだ内容と、就職してから従事する職務内容に関連性が必要です。どの程度の関連性が求められるかについては、専門学校で先行した全科目で最低でも3割以上の科目は、従事する職務内容との関連性が必要になります。また、従事する職務内容と関連性のある科目を専攻していても、成績や出生率が悪い場合は注意が必要です。

 専門学校での専攻科目の中身について

専門学校卒業者(外国人)が技術人文知識国際業務を申請する場合は、専門学校での専攻科目の内容も重要になります。例えば、通訳翻訳業務で外国人を雇用する場合で、申請人が専門学校で日本語を履修していたとします。この履修した日本語の中身が、日常会話レベルのものか又はビジネスレベルの日本語かにより申請の許可率は大きく変わります。仕事で通訳翻訳をするのであれば、当然ビジネスレベルの日本語能力が必要とされます。

業務量の確保について

勤務先で従事する仕事について18時間、週40時間の業務量が確保されているかがポイントとなります。もちろん技術人文知識国際業務の該当性のある職務内容で専門学校で学んだ科目との関連性が必要になります。

専門学校卒業者の許可/不許可事例について

ここまでは、専門学校卒業者(外国人)が技術人文知識国際業務を取得する際のポイントを記載してきましたが、実際に入国管理局が公表している専門学校卒業者の許可/不許可事例を紹介します。

 

○ 許可事例

(1)翻訳・通訳学科において,通訳概論,言語学,通訳演習,通訳実務,翻訳技法等を専攻科目として履修した者が,出版社において出版物の翻訳を行うとして申請があったもの。

(2)国際教養学科において,卒業単位が70単位であるところ,経営学,経済学,会計学等のほか,日本語,英語,ビジネス文書,ビジネスコミュニケーション等文章表現等の取得単位が合計30単位認定されており,日本語能力試験N1に合格している者が,渉外調整の際の通訳を行うとして申請があったもの。

○ 不許可事例

(1)CAD・IT学科において,専門科目としてCAD,コンピュータ言語,情報処理概論等を履修し,一般科目において日本語を履修したが,日本語の取得単位が,卒業単位の約2割程度しかなく,当該一般科目における日本語の授業については,留学生を対象とした日本語の基礎能力の向上を図るものであるとして,不許可となったもの。

(2)国際コミュニケーション学科において,日本語の文法,通訳技法等を履修した者が,新規開拓を計画中であるとする海外事業分野において,日本語が堪能である申請人を通訳人として必要とする旨の雇用理由書が提出されたが,申請人の成績証明書及び日本語能力を示す資料を求めたところ,日本語科目全般についての成績は,すべてC判定(ABCの3段階評価の最低)であり,その他日本語能力検定等,日本語能力を示す資料の提出もないことから,適切に翻訳・通訳を目的とした業務を行うものとは認められず不許可となったもの。

(3)通訳・翻訳専門学校において,日英通訳実務を履修した者が,ビル清掃会社において,留学生アルバイトに対する通訳及びマニュアルの翻訳に従事するとして申請があったが,留学生アルバイトは通常一定以上の日本語能力を有しているものであり,通訳の必要性が認められず,また,マニュアルの翻訳については常時発生する業務ではなく,翻訳についても業務量が認められず不許可となったもの。

終わりに

上述の許可不許可事例の通り、専門学校の専攻科目と職務内容の関連性が求められるだけではなく、対象科目の成績、業務量の確保、業務内容の技術人文知識国際業務への該当性当も審査されます。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

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