目次
就労形態の種類
一般人が会社に雇用されて働く場合には
①単一の企業に勤めるor 複数の企業に勤める
②直接雇用or 派遣雇用
③フルタイムor パートタイム
といった様々な就労形態が考えられます。
一方、特定技能外国人が働く場合には、在留資格「特定技能」を認めた法の趣旨に反する就労を防止するため、一定の制限があります。
契約の種類
日常用語でいう「雇う」という行為は、法的には雇用、請負、委任など様々なものに分類されます。
特定技能外国人を雇用する契約としては、基本的には民法上の雇用契約(民法623条)が想定されています。請負契約(民法632条)や委任契約(民法643条)によって雇うことは認められません。
もっとも、現代では様々な要素が複合的に含まれる契約も多く、純粋な雇用契約でなくても、「雇用に関する契約」であると言えれば認められます。
一度に就労できる会社は1つまで
1人の特定技能外国人を複数の受入企業が同時に雇うことはできません。
なお、特定技能外国人の転職は、
①同一の業務区分
②技能水準の共通性が試験等によって確認されている業務区分
の中であれば認められます。
特定技能外国人の出向について
出向には、一般的に在籍型と移籍・転籍型の二つがあります。
このうち在籍型の出向の場合は、出向元・出向先といった複数の受入企業と雇用に関する契約を締結することになるため、認められません。
一方、移籍・転籍型の出向の場合は、特定技能外国人が出向先とのみ契約を締結するようなものについては、複数の企業と契約しているわけではないので認められる可能性があります。
雇用形態
雇用形態はフルタイムの直接雇用に限られるのが原則です。
ただし、農業分野と漁業分野のみ、一定の要件のもとでフルタイムの派遣雇用によることが認められています。
農業分野の派遣雇用
労働者派遣事業者を受入企業として、農業分野の事業者に特定技能外国人を派遣する場合には、派遣雇用形態が認められます。
農業分野において派遣雇用が認められる理由は、
①季節によって農作業の繁閑がある
②作物によって収穫や種植え等の農作業のピーク期が異なる
といったことから、繁忙期に集中して労働力を確保したい、複数の産地間でピーク期に合わせて柔軟に労働力を確保したい、というニーズに対応する必要性があると考えられたためです。
漁業分野の派遣雇用
労働者派遣事業者を受入企業として、漁業分野の事業者に特定技能外国人を派遣する場合には、派遣雇用形態が認められます。
また、派遣雇用の場合、関連業務を行わせるにあたっては職業安定法令を遵守する必要があります。
漁業分野において派遣雇用が認められる理由は、
①対象魚種や漁法によって繁閑期が異なる
②漁業分野は零細業者が多く、業務地も半島・離島といった地域が多い
といったことから、繁忙期や地域に合わせて柔軟に労働力を融通するニーズに対応する必要性があると考えられたためです。
漁業分野の派遣雇用例
典型的なものは漁業協同組合が受入機関となるものです。
漁業協同組合が組合員の要請に応じて特定技能外国人を派遣するためには、漁業協同組合固有の問題として、以下を満たす必要があります。
①組合員の事業または生活に必要な共同利用施設を設置の規定があること
②総会決議で可決されていること
まとめ
特定技能外国人の就労形態はとして認められるものは、①1つの企業のみへの、②フルタイムの直接雇用が原則です。
ただし、農業分野と漁業分野のみ例外的に派遣雇用が認められます。
この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士
湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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帰化申請サポートセンター https://visa-saitama.net/kika/
就労ビザサポートセンター https://touch.or.jp/work/
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