目次
経営管理ビザ用の印鑑証明書・サイン証明書の取得方法ついて以下のように考えている方へ
会社を設立し、経営管理ビザの取得を検討する場合、会社を設立に際し、印鑑証明書またはサイン証明書が必要となります。具体的には、下記の通り個々の置かれている状況に応じて取得する証明書が異なります。
日本に居住している外国人の場合 | 日本の市町村役場が発行する「印鑑登録証明書」 |
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海外に居住している場合 | ①印鑑文化がある国は、当該国が発行する「印鑑証明書」②印鑑文化がない国は「サイン証明書」 |
- 会社を設立し経営管理ビザの取得を目指しているが、印鑑登録証明書が必要。自分が印鑑登録できるのかどうか知りたい。
- 会社を設立し経営管理ビザを申請する予定だが、印鑑登録証明書をどのように取得すればいいか分からない。取得できるのかどうかすら分からない。そもそも印鑑さえ持っていない。
- 海外に居住しているが、自国にはそもそも印鑑を使用する文化がない。
この記事は、上記のような人にとって有益な内容を含んでいます。
この記事で経営管理ビザについて知ることができること
- 印鑑の基礎知識
- 印鑑登録証明書とは
- 経営管理ビザの取得に向けた会社設立に際し、だれの印鑑登録証明書が必要か。
- 国別の印鑑登録証明書あるいはそれに代わるものの要否・内容
- 印鑑登録証明書の取得方法
- サイン証明書(署名証書)の機能と発行機関
前提となる知識の確認
まず、前提となる知識を確認します。一見すると経営管理ビザや会社設立とは関係ないと思われるようなことも含まれていますが、実はこの記事の後半部分と関連がある話です。
(1)素材と使い方
「印鑑」を知っていますか?素材が木・竹、石、角や象牙、金属、合成樹脂などで作られていて、その一面に文字やシンボルが彫刻されたものです。印鑑の使用目的は、個人・官職・団体の印としてその責任や権威を証明するためのものです。具体的な使用方法としては、公私の文書(紙)に押すことによります。
(2)機能
書類に印章が押印されているにより、それは確かにその印鑑所有者の意思で押したのであり、よってその押印された書類は偽造されたものなどではなく真正な書類なのだろうということが推定されます。これは、自分の責任や権威を示す証である印章を簡単に他人に使わせることは通常考えにくいから、他人が勝手に押印したのではなく本人の意思で押印したのだろうという考えがベースとなっています。
(3)歴史的文化的バックグラウンド
印鑑というと、アジアの一部の国でのみ用いられているというイメージがありませんか。実際、日本や台湾、中国では印鑑を使用する文化が存在するのに対し、英語圏など世界の大半の国では、印鑑を所持する文化は一般的ではありません。だから、印鑑を持っていないという人がいたとしても全く不思議ではありません。
余談ですが、中世ヨーロッパでは、重要な文書や手紙には印章が押され、それによってその文書の信頼性と真正性が確認されていたという歴史があります。だからこそ「Seal」(ラテン語の「sigillum」から派生)という単語が存在するのです。
印鑑証明書
(1)会社設立に際し必要となる
以下、外国人が経営管理ビザの申請に先立って会社を設立する場面を想定します。その場合、基本的には印鑑登録証明書が必要です。
(2)印鑑登録証明書とは
印鑑登録証明書とは、特定の個人や法人の印鑑を正式に登録したことを証明する書類です。これによりその印鑑は、一般的に公的な書類や契約書などに使用され、個人の署名に相当する効力を持つようになります。
(3)だれの印鑑登録証明書が必要か
では、経営管理ビザの申請に向けた会社設立に話を戻します。ここではだれの印鑑証明が必要なのかというと、発起人と取締役です。
なお、両者を1人で兼ねるような場合にも、合計2通の印鑑登録証明書が必要です。発起人として1通、取締役として1通が必要ということです。
印鑑登録証明書は絶対に必要なのか
外国人が日本において会社を設立する場合、印鑑を登録しその証明書の発行を受ける必要があるかどうかは、ケースバイケースです。下記で具体的なケースごとに述べます。
(1)日本に居住している
まず、その外国人が日本に居住しているというケースです。このケースの場合、印鑑登録証明書が必要です。どのような人が印鑑登録できるのかについては、後述します。
(2)海外にいる(日本に居住していない)
つぎに、その外国人が日本以外の場所に居住しているというケースです。このケースにおいては、さらに2つのパターンに分類することができます。1つめは、印鑑を使用する文化のある国(台湾、中国)、2つめはそうでない国です。
そこで、以下ではこれら2つのパターンごとに分けて論じます。
印鑑を使用する文化のある国
印鑑文化のある以下の国々については、書類を会社設立時に次のような書類を提出します。
- 台湾:印鑑証明書+日本語翻訳文
- 中国:印鑑公証書+日本語翻訳文
印鑑制度のないその他の国
これらの国に関しては、印鑑登録証明書の提出が義務付けられない代わりに、
次のような書類の提出が認められます。なお、下記に記載の「サイン証明書」については、以下の7において改めて述べます。
サイン証明書+日本語翻訳文
印鑑登録証明書の取得方法
(1)印鑑登録できる外国人
5(1)で既述した通り、外国人が日本に居住している場合、会社設立に際して印鑑登録証明書が求められます。その印鑑証明書の発行を受けるためには、印鑑登録することになります。そこで、どのようなポイントをクリアすれば印鑑登録をすることができるのかという点が問題となってきます。この点に関し、印鑑登録をすることができるのは以下の場合です。
- 在留カード又は特別永住者証明書を持っている。
- 印鑑登録をしようとする市区町村に住民登録がある。
- 15歳以上である。
(2)印鑑登録するための印鑑
印鑑を入手
では、かりに上記(1)のポイントをクリアしているとして、つぎに用意するものは印鑑です。印鑑といえば、大量生産されているスタンプ式の印鑑(シャチハタ印といいます。)を100円ショップなどで見かけたことがあるという人もいるのではないでしょうか。そのような印鑑でもOKなのかというと、その答えはNOです。
ではいったいどうすればいいのかというと、おすすめはオーダーメイドで新しく作ることです。なぜなら、そうすることにより偽造されにくくするためです。
印鑑の規格を確認する
さらに、オーダーメイドするとしてもどのような印鑑をオーダーすればいいのかという疑問が生じます。この点については、市区町村によって大きさや素材についてのルールがあるので、確認するとよいでしょう。
(3)印鑑登録をする
印鑑が入手できたら、いよいよ印鑑登録をします。以下、必要な情報を整理します。
場所 | 自分の住所が登録されている市区町村 |
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持参するもの | 登録予定の印鑑、パスポート、本人確認のために必要な書類。 |
費用 | 100~400円程度。 |
(4)印鑑登録証明書の発行
上記6(3)の手続きが終わったその日に発行してもらえるのが、印鑑登録証明書。これで登録した印鑑が本当にあなたのものであることが公に証明されることになります。
サイン証明書(署名証書)
(1)サイン証明書の機能
さて、今度はサイン証明書についてです。
サイン証明書は印鑑を使用する文化のない国の人のためのシステムです。要するに、上記6で述べた印鑑登録に代わるシステムだと考えるとよいでしょう。具体的には、これによりそのサインが真正なものであることが証明されます。
(2)署名証明書の発行機関
法務省によると、署名証明として添付することが認められているのは、つぎのような機関が作成したものです。
- 本国に所在する本国官憲
- 日本に所在する本国官憲
- 第三国に所在する本国官憲
- 本国に所在する公証人
経営管理ビザ用の会社設立のための印鑑証明書・サイン証明書の取得方法まとめ
この記事のエッセンスを以下に記載しておきます。
- 印鑑は、責任や権威を証明するもの。印鑑を使用するかどうかは国によって異なる。
- 印鑑登録証明書とは、特定の個人や法人の印鑑を正式に登録したことを証明する書類。
- 経営管理ビザの取得に向けた会社設立に際し、発起人と取締役の印鑑登録証明書等が必要。
- 海外に居住する外国人の場合、印鑑登録証明書に代わるものを提出する。
- 印鑑登録証明書は、基本的には自分の住所が登録されている市区町村で印鑑登録をした後、発行してもらえる。
- サイン証明書(署名証書)は、その署名が真正なものであることを証明する機能を持つ。大使館等で発行してもらう。