経営・管理ビザとは、事業の運営等をすることを目的として日本に在留する外国人が取得するビザを言います。
経営・管理ビザを取得するためには様々な要件・条件を満たす必要がありますが、その一つに「事業を営むための事業所が日本に存在すること」というものがあります。
経営・管理ビザは取得にあたって500万円の出資が必要であるためその他の出費をなるべく抑えたい、まだ日本で事業活動を開始していない外国人はそもそも事業所となるオフィスを借りるのが難しいといったことから、事業所をレンタルオフィスで賄いたいと考える方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、レンタルオフィスでも経営・管理ビザを取得することは可能です。
ただし、レンタルオフィスなら何でも良いというわけではありません。
このページでは、経営・管理ビザをレンタルオフィスで取得する場合について解説します。
レンタルオフィスとは
レンタルオフィスとは、業務に必要なデスクや情報機器が備え付けられた貸事務所を言います。
一般的な事業用の物件よりも賃貸借契約を締結するハードルが低いことや、自前で事業用の設備を整える必要がなく、保証金等も不要なことが多いため初期費用を抑えられるというメリットがあります。
経営・管理ビザにおける「事業所」
日本人が事業活動を行う場合とは異なり、経営・管理ビザを取得するために用意する事業所は一般的に以下の要件・条件を満たしている必要があります。
- 物件の賃貸借契約が事業目的であることが明確になっていること（例）契約者が事業を行う法人名義、使用目的が「事業用」「事務所」などと契約書に明記
- 独立したスペースが確保されていること
- 事業に必要な設備や広さが備わっていること
レンタルオフィスで経営・管理ビザを取得する場合には②と③が特に問題となります。
レンタルオフィスが経営管理ビザの「事業所」と認められるためには
レンタルオフィスが経営管理ビザの「事業所」と認められるためには、原則下記の２点を満たしていることが必要です。
１ 独立したスペース（個室の確保）
独立したスペースと認められるためには、その場所が客観的に一つの部屋として存在していなければなりません。すなわち、壁やドアなどで明確に個室として区切られている必要があります。
単にパーテーションで部屋の中を区分けしただけのレンタルオフィスや、間仕切られていたとしても壁の上部は仕切られておらず隣の部屋同士が繋がっている状態のレンタルオフィスは独立したスペースとは言えず、事業所としては認められません。
２ 事業に必要な設備や広さを設けていること
事業所と言えるためには、事業運営に必要不可欠な設備が備わっている必要があります。
少なくとも、デスク、パソコン、電話、コピー機、郵便受けや会社名を示す標識などはないと通常は事業運営をすることはできないため、そのような設備のないレンタルオフィスは事業所としては認められません。その他、事業の性質上必要な設備がある場合はそれも備わっている必要があります。
また、事業所と言えるためには、その部屋が事業運営をするのに必要な広さを持っていることも求められます。
パソコンだけでできるような事業内容であれば、デスク、パソコン、コピー機が設置できる程度の広さのレンタルオフィスで問題ありません。しかし、在庫を伴うような事業内容であればその在庫が入る広さのレンタルオフィスでないと事業所としては認められません。
フリーデスクプラン、バーチャルオフィスなどは認められない
フリーデスクプランのように、多人数がひとつの部屋を共有しているような状態は「独立したスペース」とは言えないため、事業所としては認められません。
また、バーチャルオフィスのように、部屋の住所はあるが作業用のスペースはないという状態も「独立したスペース」とは言えないため、事業所としては認められません。
おわりに
法律上の要件を意識せずにレンタルオフィスで事業所を用意すると、経営・管理ビザが不許可になる原因となります。
レンタルオフィスによって事業所を用意しようと考えている外国人の方は、経験豊富な専門家へ一度相談することをおすすめします。
