目次
経営・管理ビザとは
経営・管理ビザとは、事業の運営等をすることを目的として日本に在留する外国人が取得するビザを言います。
経営・管理ビザは、申請の過程での500万円の出資、事業所の賃料、その他税金など、何かとお金がかかることから、事業が軌道に乗るまでアルバイトなど副業をしたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
日本人の起業家の知り合いがいる人は、事業が軌道に乗るまで深夜にコンビニのアルバイトをしていた、交通整備や警備員のアルバイトで食いぶちを稼いだといった苦労話を聞いたことがあるかもしれません。
このページでは経営・管理ビザで副業(アルバイト)ができるかについて解説します。
経営・管理ビザで副業(アルバイト)はできない
結論から言うと、経営・管理ビザでアルバイトをすることは残念ながらできません。なぜなら、日本人と異なり、外国人が日本で行える活動はビザで許されている範囲に限定されているためです。
上で述べた通り、経営・管理ビザは事業の運営等の活動をするためのビザです。アルバイトは事業の運営等以外の活動であるため、経営・管理ビザの外国人が行うと「資格外活動」となり違法になります。
資格外活動許可は取れないのか
留学などで日本に在留していた外国人の方は「資格外活動許可」という制度をご存じかもしれません。
これは、一定の場合に一部の「資格外活動」を認める制度です。
例えば、留学ビザは日本の学校に通うという活動をするビザのため、アルバイトをすると「資格外活動」となってしまいますが、資格外活動許可を受けることで週28時間以内のアルバイトをすることが認められます。
経営・管理ビザの場合も、理屈上は資格外活動許可を受けることは可能です。
しかし、実務上、経営・管理ビザの外国人がアルバイトをする資格外活動許可は、申請しても許可されません。
したがって、この観点からも経営・管理ビザでアルバイトはできないと言えます。
経営・管理ビザでアルバイトをするとどうなる?
アルバイトなどの資格外活動を入管が把握した場合、経営・管理ビザの更新時に不許可となる原因になります。
また、アルバイトに多くの時間を割いてしまい、本業である事業の運営をほとんど行っていないような状態になってしまうと、経営・管理ビザが取り消されてしまう可能性もあります。
最悪のケースでは懲役や罰金などの刑事罰、退去強制により日本から出国しなくてはならないといったことにもなってしまいます。
副業で経営・管理の活動を行う
少し異なるケースとして、別の就労系ビザ(技術・人文知識・国際業務など)の外国人が、働きながら副業で会社を立ち上げて経営・管理をしたいという場合があります。
この場合には、経営・管理ビザで副業をするのと異なり認められる可能性があります。
ただし、以下の2点に注意する必要があります。
①現在勤務している会社のルールに反しないか
勤務先の会社によっては雇用契約書や就業規則で副業を禁止している場合があります。
この場合は、入管法上適法でも、副業で会社を立ち上げて経営・管理をすることはできません。
②資格外活動許可
前述と同様に、経営・管理ビザ以外のビザで会社の経営・管理をすることは資格外活動となるので、「経営・管理をする」という資格外活動許可を受ける必要があります。
この資格外活動許可は、経営・管理ビザでアルバイトの資格外活動許可を受ける場合に比べれば、許可が出る可能性はあります。
もっとも、「経営・管理ビザ」という正式なビザが既に用意されている以上、この資格外活動許可を受けることも一般的には難しいことに留意する必要があります。
高度専門職ビザの場合
高度専門職ビザの場合は、副業として自分のビザに関連する会社の経営をすることが法律上認められています。
あくまで副業としてなので、メインの活動として会社経営はできないことに注意してください。
また、関連しない会社の経営をしてしまうと資格外活動として違法になりますので、会社設立の前に一度専門家に判断してもらうことをおすすめします。
おわりに
経営・管理ビザはそもそも取得が難しいビザですが、上で述べた通り、事業が軌道に乗るまでの繋ぎとしてのアルバイトもできないため、取得後も維持していくのが難しいビザだと言えます。
売上があまり見込めない時期でも生活が立ち行かなくなるということがないよう、会社設立段階からしっかり資金繰りや事業計画を立てることが重要です。