経営管理ビザを更新する際に赤字でも大丈夫ですか?という質問をよくいただきます。経営管理ビザの更新の場合、自身の在留状況に加えて会社の決算状況も審査の対象となります。
つまり、赤字で決算を計上している場合、経営管理ビザの更新ではマイナスに作用します。このページでは決算が赤字の場合の経営管理ビザの更新について解説していきます。
目次
事業の安定継続性を証明する
経営管理ビザの審査項目の1つに「事業の安定性」というものがあります。これは、日本で引き続き会社を安定継続的に運営できることが求められています。会社が赤字の場合、この「事業の安定性」を満たしていないと判断されます。
起業をして1年目の場合は、決算が赤字になる可能性が高いです。1年目は設備投資などでどうしても出費が増えたり、事業が完全に軌道に乗るまで時間がかかるからです。入国管理局も1年目の決算が赤字でも、最初の更新申請は許可にしてくれることが多いと感じます。
ただし、2年目以降の決算でも赤字の場合はすんなり更新許可とはいきません。特に会社が債務超過になっている場合は注意が必要です。
債務超過(さいむちょうか)とは、会社の負債の総額が資産の総額を超える状態をいいます。つまり、会社の資産をすべて売却しても、負債を返済しきれない状態です。上場企業の場合、債務超過は上場廃止の原因になります。経営管理ビザの更新でも債務超過になっている場合は、そのまま更新申請をしても不許可のリスクは高まります。
債務超過で経営管理ビザを更新する場合
上記で債務超過に該当する場合は、経営管理ビザの更新が難しくなると説明をしました。債務超過になるかに関しては、決算が締まる前の業績である程度予測することができます。そのため、事前にある程度の対策をうつことが可能です。下記に債務超過にならないための2つの対策を紹介します。
資本金の増資
資本金は会社の資産として扱われますので、資本金を増資することで債務超過に陥ることを回避することができるケースがあります。ただしあまりにも負債の額が大きい場合は、資本金の増資で債務超過を回避することは難しいでしょう。
役員報酬の減額
役員報酬を減額することでいわゆる負債を減らすことが可能です。会社の状況から見て役員報酬を高く設定している場合は、役員報酬を減額することを検討しましょう。
赤字で経営管理ビザを更新する場合
赤字で経営管理ビザを更新する場合、そのまま入国管理局が公表している必要書類を揃えて申請するだけでは不許可になるリスクが高まります。そのため、申請者自身で追加書類を揃えて申請することが望ましいです。下記に赤字で経営管理ビザを更新する場合に、提出することがある書類を解説いたします。
事業計画書
まず、赤字で経営管理ビザを更新する場合で最も多く提出する書類が事業計画書です。この事業計画書には赤字で決算をした理由や、来季の決算ではどのように会社を運営して、どのようにして決算を黒字にするかを記載します。もちろん根拠になる資料等も一緒に提出をします。
中小企業診断士又は公認会計士が作成した企業の評価書
赤字が継続している場合は、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を専門とする有資格者が評価を行った書面の提出をすることがあります。これは有識者である第三者が、客観的に企業の経営を評価して、これからの会社の運営の見通しを評価する書類です。
つまり、この評価書の内容が経営管理ビザの更新でプラスに作用する場合は、提出することで更新申請が許可になる可能性が高まります。
終わりに
このページでは赤字でも経営管理が更新できるのかについて解説いたしました。赤字の場合は更新の難易度が上がることは間違いありません。そのため、入国管理局が公表している必要書類の他に、自身でプラスになる資料を判断し提出していく必要があります。
決算が赤字の場合は、次回の決算でどのようにして改善して事業が安定することを証明する必要があります。しっかりと利回りを計算し、客観的に実現できると思われるような事業計画をたてましょう。
また、決算を黒字にするための役員報酬の減額には注意が必要です。極端な話、役員報酬を0に設定した場合、今度は日本での生活するための資金がないと判断されてしまいますので、役員報酬の設定金額は月20万円以上にしましょう。
当事務所では経営管理ビザの更新をサポートさせていただいておりますので、更新に不安がある方はお気軽に当事務所にご相談ください。