「私は、今まで日本とは無縁だった。日本には旅行で行っただけ。だけど、今度日本に住んでみたい。旅行とかではなく、数年間住んで日本の暮らしを体験したい。やってみたいビジネスもある。」
「なんだかよくわからないけど、とりあえず日本での起業に興味がある。」
この記事を読んでいる皆さんの中にそう思っている人がいるのではないでしょうか。そんなあなたにとって、この記事は役に立ちそうです。この記事では、以下のことを知ることができます。
- 日本に住むためのビザについて
- 日本で起業するためには
- どんなビジネスをすることができるの?
- 注意点
1.日本に住むためのビザについて
(1)在留資格とは
まず初めに、日本に住むためのビザについて簡単に確認しておきます。なぜなら、とても基本的なことだからです。当たり前のことすら知らない状態では、やりたいことをスムーズにすすめることができないかもしれません。
簡単に言うと、日本に住み続けるために必要なものは、「在留資格」。一般的に言ってしまうとビザです。そして、この在留資格とセットになるのが特定のアクティビティです。要するに、日本でやろうとしている活動は何なのかという点がポイントになってきます。
なお、厳密に言うと、「在留資格」と「ビザ」とは理論上異なるものですが、一般の人々の認識としては区別していないことが多く、今回のトピックについて知っていく上で大きな支障とはならないため、以下、これらの用語を厳格に区別することなく使用していくことにします。
(2)確認しておきたい点
そうすると、この記事を読んでいる皆さんとしては、はっきりしているのではないでしょうか。皆さんが日本でやりたいと思っていることは、会社の経営等ですね。ただ、いろいろと気になることがあります。例えば、以下のような点です。
- どんなビザが必要になるのか?
- どんなビジネスでもやっていいのだろうか?
- 具体的にどのようなアクティビティがそのビザの対象となるのだろうか?
これらの点をはっきりさせておけば、これからの流れをスムーズに進めることができそうですね。では、以下で具体的に説明していきます。
2.日本で起業するためには
(1)モデルケース;民泊
ア 素敵なコテージ
あなたは、中国出身で中国に住んでいます。パンデミック前に、日本にある素敵なコテージを何軒か買いました。ロケーションは、風光明媚な観光地。バルコニーからはきれいな海を見ることができます。しかし、その後、パンデミックが始まってしまいました。そのため、せっかく買ったその不動産ですが、住むことも訪れることもできず放置せざるを得ない状況が続きました。これだともったいないですね。
その後さらに年月が経ち、ようやくコロナウイルス騒動も落ち着いてきたようです。世界中の人々が再び旅行にでかけるようになり、宿泊や観光業界にも明るい未来の兆しを感じることができるようになりました。このような状況の中、あなたは、日本にあるその不動産をもっと有効活用したいと考えるようになりました。
具体的には、その不動産をホテルのように使うのです。お客さんに宿泊してもらって宿泊料をとるビジネスです。このようなビジネスは、日本では「民泊」と呼ばれています。インターネットにウェブサイトを作って、旅行で泊まりたいというお客さんを集めるのです。ちなみに、このようなインターネットにより不動産を貸したい人と泊まりたい人をマッチングするビジネスは世界各国で展開されています。
イ ほかのビジネスでもOK
ところで今、民泊ビジネスをモデルケースとしてご紹介しましたが、この記事を読んでいる皆さんの中には、それ以外のビジネスに興味があるという方もいるのではないでしょうか。例えば、貿易会社を立ち上げたいなどです。大丈夫です。ここから先は、民泊ビジネスをやりたい方だけでなく日本での起業等に興味があるすべての方に役立つ情報が載っています。あなたがやりたいことが実現できるかどうか、今から一緒に見ていくことにしましょう。
(2)何が必要なのか?
ア ビザ
そうすると、つぎに、日本で民泊ビジネスをするためにはどうしたらいいんだろうということが気になってきませんか。そこで再び先ほどのビザの話が出てきます。そう言われると、「なるほど、民泊ビジネスをするにはビザが必要なんだな」ということが予想できるわけですが、ちょっと待ってください。その「ビザ」とはどういうビザなのでしょうか?
実は、日本に入国・滞在するための在留資格としては、29種類あります。その中で、民泊ビジネスのために必要なビザは、具体的に何なのか。そのことを特定することから始める必要があります。
イ 経営管理ビザ
その名前は、ズバリ「経営管理ビザ」というものです。この記事を読んでいる皆さんの中には、その名前を聞いたことがあるという人もいれば、初めて聞いたという人もいるでしょう。いずれにしても、日本でビジネスをやるからには経営管理ビザは避けて通れないトピックです。
では、経営管理ビザとはどのようなものなのでしょうか?わかりやすく言うと、外国人として日本でビジネスをやるための在留資格です。例えば、先ほどのモデルケースで挙げた民泊ビジネスをやるために必要となるものです。
ただ、「ビジネスをやる」というフレーズは、少し抽象的でイメージを持ちにくいかもしれません。そこで、経営管理ビザがカバーするビジネスやアクティビティについて、もっと詳しくみていくことにしましょう。もちろん民泊ビジネス以外の事業を考えている方も必見です。
3.どんなビジネスをすることができるの?
(1)経営管理ビザがカバーするビジネスは、2つです。それは、「経営」と「管理」です。
そう言われてもなんだかピンとこないのではないでしょうか。そこで、以下、上記
のモデルケース等を使いながらもっと詳しくご説明します。
(2)「経営」
ア 該当するアクティビティ
経営管理ビザがカバーするアクティビティの一つとしての経営とは、簡単に言うと、企業等においてそのビジネスをやっていく上で大事なことを決める等することと言えます。例えば、先ほどのモデルケースでは、コテージに泊まりたいというお客さんの数が増えてきたのでさらに新しくコテージを購入することを決めるようなアクティビティが考えられます。要するに、会社の社長さんがやるようなお仕事です。
イ パターン
ちなみにちょっと細かいような話になってしまいますが、ここでの「事業の経営を行う」とは、以下の3パターンがありますので一応ご紹介しておきます。
- 「日本において活動の基盤となる事務所等を開設し、貿易その他の事業の経営を開始して経営を行うこと」。
- 「日本において既に営まれている貿易その他の事業の経営に参画すること」。
- 「日本において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは日本におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わってその経営を行うこと」。
(3)「管理」
ア 該当するアクティビティ
つぎに、経営管理ビザの在留資格にあたる活動の二つ目としての「管理」とは、会社でみんなに指示をだしたりするまとめ役のような活動であるといえるでしょう。例えば、パン工場において、パンを製造するスタッフがたくさんいる中で、今日は誰がどこのラインを担当してどういうパンを作るか等の指示を出し、スタッフのみんながちゃんとパンを作ることができているかどうか全体をチェックするようなお仕事が考えられます。部長さんや工場長、支店長さんのお仕事というとイメージをもちやすいのではないでしょうか。
イ パターン
さらに、この「事業の管理に従事する」について、以下の2つのパターンが定められています。ご参考までに載せておきますね。
- 「日本において経営を開始してその経営を行っている事業又は経営に参加している事業の管理に従事すること」。
- 「日本において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは日本におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わって当該事業の管理に従事すること」。
4.注意点
(1)知っておきたいこと
ここまで読んできて、経営管理ビザでどのような活動をすることができるのかについて、大体のイメージを持つことができたのではないでしょうか。「じゃあ、さっそく経営管理ビザの取得に取り掛かるか!」と思った方もいるかもしれません。ちょっと待ってください。念のため注意点を知っておくとよいでしょう。
実は、経営管理ビザについて、それに基づき行う「事業」は、どのようなものでもOKというわけにはいきません。この点について、3つのポイントがあります。後になって「こんなはずではなかった」と後悔することのないよう、今チェックしておくと安心ですね。3つのポイントとは何でしょうか。それは、以下です。
- 適正
- 安定
- 継続
このようにキーワードだけ挙げてみましたが、具体的にどのような規制があるので
しょうか?以下、これらの3つについて、さらに詳しくご紹介しますね。
(2)適正
ア 違法なビジネスはダメ
「経営・管理」に関する「事業」は、適正に行われるものでなければならないとさ
れています。要するに、違法なビジネスはダメですということです。例えば、モデルケースの民泊については、様々な法的規制があります。それらの規制を無視するような民泊ビジネスは、認められないでしょう。言い換えると、日本において適法な事業であれば、どんなビジネスでもOKです。例えば、飲食店、風俗営業店、中古自動車販売等・・・制限はありません。ちょっと意外な感じがしますね。
イ 公的義務を果たす
ビジネスをやるからにはさらに必要なことがあります。とても基本的なことだと思われるかもしれませんが、税金をちゃんと払うということです。それだけではありません。モデルケースの民泊ビジネスについて、客室のベッドメイキングをしてもらうためスタッフを雇うということがあるかもしれません。そうだとすると、一定の場合、労働保険の加入手続を適正に行い、保険料をきちんと払うことが求められます。
(3)安定、継続
ア ビジネスのビジョン
上記「適正性」に加え、「経営・管理」に関する「事業」は、「安定性」と「継続性」
の認められるものであることも求められます。わかりやすく言うと、「そのビジネスは、これから先ずっと、ちゃんと売上を上げることができそうですか?」ということです。在留期間の途中でビジネスがうまくいかなくなり民泊ビジネスが成り立たなくなるようでは、「経営・管理」の在留資格に当たるアクティビティを行うものとは認められません。
イ 対策例
みなさんのやりたいビジネスは、いかがでしょうか。「私は大丈夫。これから先ちゃんとやっていく自信がある!」と思っているのではないでしょうか。でしたら、そのことを客観的に明らかにしておきたいところです。そのために非常に重要になるのは、「事業計画書」の作成です。要するに皆さんのビジネスの今後の見通しについてのプランを作るということです。
弊社(行政書士法人タッチ)では、事業計画書の作成を完全サポートできます!この記事では経営管理ビザについてのすべてを書くことができませんでしたが、もし弊社にサポートをお申込みしていただければ、あなたに合ったオリジナルのアドバイスやとっておきの情報を知ることができますよ。ぜひぜひご利用くださいね。お待ちしております。