経営管理ビザ

経営管理ビザの更新 条件や必要書類、3年ビザ取得のためのポイントを解説

経営管理ビザの更新 条件や必要書類、3年ビザ取得のためのポイントを解説

経営管理ビザの更新とは

経営管理ビザを新規取得すると、1年の在留期間を付与されることが一般的です。会社を立ち上げて経営に悪戦苦闘しているうちに、すぐにビザ更新の時期がやってきます。
せっかく苦労して経営管理ビザを取得しても、更新が不許可になってしまえば全て水の泡です。経営者として日本に在留し続けるためには、ビザの更新というハードルをクリアしなければなりません。

では、確実に許可を得るにはどんな点に注意が必要なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
※経営管理ビザの正式な名称は在留資格「経営・管理」ですが、この記事では一般に知られている経営管理ビザという名称を使って解説します。

経営管理ビザ更新の要件

経営管理ビザの審査にあたっては、「申請者の各種義務の履行」や「事業の継続性」がチェックされます。具体的にはどんな項目が見られるのでしょうか。

申請者の各種義務の履行

ここでいう各種義務とは、主に納税や保険加入等の義務のことです。会社としての義務と申請者個人としての義務を両方履行することが求められます。

会社としての義務(納税、社会保険への加入)

会社の義務の履行で、特に気をつける必要があるのは社会保険への加入です。

すべての法人事業所は、社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入義務があります。ときどき「社員は自分1人だけだから、社会保険に入らなくてもよい」と考えている経営者の方がいますが、それは誤解です。1人会社であっても必ず社会保険の加入手続を行い、社会保険料を遅滞なく納付してください。

また、労働者を1人でも雇っている場合は労働保険(労災保険・雇用保険)への加入義務があります。労働関連法令を学び、コンプライアンス(法令遵守)を徹底することも必要です。

法人税、消費税、法人住民税、法人事業税等の各種税金を完納しなければならないことはいうまでもありません。

個人としての義務(納税、入管法上の届出)

会社としての義務だけでなく、経営者個人としての納税義務を履行していることももちろん重要です。住民税の支払いについては課税証明書・納税証明書で確認されますので、未払いのないように必ず納税してください。

また、意外に見落とされがちなのが入管法上の届出義務の履行です。住居地の届出や、住所変更の届出等、出入国在留管理局への届出が滞りなく行われているかもしっかり確認されています。各種届出をうっかり忘れないように気をつけてください。

事業の継続性

事業を安定的に継続できるかどうかは、非常に重要な審査のポイントです。

決算報告書が黒字決算であれば、基本的には事業に継続性があると判断できます。とはいえ、赤字決算だからといって、ただちに更新が不許可になるわけではありません。赤字決算にもさまざまな要因があります。設立してまもない企業は、設備投資の費用がかさんで赤字に陥るケースもしばしばあるでしょう。

その際に注目すべきポイントは、売上がしっかりと立っているかどうかです。売上が立っているということは、その企業がしっかり稼げているということです。ですから、たとえ今期は赤字決算だったとしても、来期に挽回できる可能性は十分にあるといえます。逆に売上が立っていない場合は、業績回復への道筋は険しいと見るべきです。

経営管理ビザを確実に更新するためには、社員が1人だけの企業であっても、少なくとも年間1000万円以上の売上は必要と考えてください。

もしも赤字決算になってしまったら?

赤字決算でビザを更新する場合は、なぜ赤字になってしまったかを説明するために、収益予想も含めた今後一年間の事業計画書を提出しましょう。経済状況や環境の変化等により、当初の事業計画通りにはいかないことは多々あります。修正した事業計画を提出することで、今後の黒字化への見通しをわかりやすく示すことが重要です。

赤字決算よりも危険な「債務超過」

会社の負債の総額が資産の総額を超えている状態が「債務超過」です。会社の資産をすべて売り払っても負債が返せないわけですから、極めて危機的な経営状況にあるといえます。

債務超過に陥ってしまうと、事業の継続性があると判断されるのは難しくなります。そのときは、企業評価を行う公的資格である中小企業診断士や公認会計士等が行った1年以内に債務超過が解消できる見通しについての評価書の提出が必要です。この評価書によって、債務超過であっても事業に継続性があるかが判断されることになります。

債務超過になった場合、経営者や第三者による増資などによる資金の手当てを行うといった経営支援等がない限り、更新が認められない可能性が高まります。

適切な役員報酬の設定とは?

一般的な事業経営では、黒字化を目指すために役員報酬をあえて低く設定することがあります。経営管理ビザを取得した外国人経営者も自分の報酬を自分で決めることになりますが、安易に役員報酬を下げるのは要注意です。

なぜなら、経営管理ビザの要件には、在留資格を持った外国人が日本で安定的に生活を営むことも含まれており、無報酬や低報酬では「生活に支障をきたすのでは」という疑念を抱かれてしまうからです。

出入国在留管理局にそうした疑念を抱かれないために、役員報酬は少なくとも月額20万円以上に設定するのがよいでしょう。それよりも低い報酬だと安定的な生活を送るのは難しいと判断されてしまい、不許可のリスクが高まります。

海外滞在日数が多いと更新が不許可になる?

もし申請者が一年の大半を海外で過ごしていたり、出国回数があまりに多かったりすると、更新は不許可になってしまうのでしょうか?

結論から言うと、長期出国が審査に影響を与える可能性はあります。経営者が長期間にわたって日本にいなかった場合は、なぜ海外に滞在する必要があったのか、合理的な理由を理由書等で出入国在留管理局に説明する必要が出てくるでしょう。

とはいえ、経営者のなかには、日本だけでなく海外でも会社経営している方もいます。そのほか、さまざまなビジネス上の事情でどうしても海外への長期出張が必要になるケースも現実には多々あります。そうした場合でも更新が不許可になるかというと、必ずしもそうではありません。

ポイントとなるのは、以下の二つです。

①日本で経営する会社の経営状態が健全であること
➁申請人が納税などの各種義務をしっかり履行していること

この2つの条件がそろっていれば、申請人が長期出国していたことのみをもって更新が不許可になることはまずないと考えてよいでしょう。
経営管理ビザの更新の際に必要になる書類は以下の通りです。(※カテゴリー3の企業の場合の例)

  • 在留期間更新許可申請書 1通
  • 写真 1葉
  • パスポート及び在留カード
  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 住民税の課税証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)

ただし、もし会社が赤字や債務超過に陥っている場合は、上記の書類だけでは不十分です。前述の通り、事業計画書等の追加書類を積極的に提出して、会社の経営状態が改善するまでの道筋を示す必要があります。

経営管理ビザ3年を取得するためのポイント

「更新しても毎回1年のビザしかもらえない。どうしたら3年のビザが下りるのか?」と悩んでいる経営者の方もいるかと思います。

経営管理ビザの在留期間の決定においては、出入国在留管理局の裁量に任せられる部分がかなり大きいのが実情です。したがって、「この要件を満たせば確実に3年のビザが下りる」という明確な基準は、残念ながらないといえます。

事業を安定的に継続できるかが重要

とはいうものの、ポイントとなるのはやはり「事業の継続性」です。2年以上に渡って黒字決算が続いていれば、事業に継続性があるとみなされ、審査に有利な材料になります。

長期的な経営の展望を示すためには、3年以上の中長期の事業計画書を作成することも有効です。設備投資の計画などによって、今後の売上の拡大を説得力のある数字で示すことができれば、3年以上の経営管理ビザを取得できる可能性は高まるでしょう。

経営管理ビザの更新は当事務所までご相談ください

経営管理ビザの更新申請にあたっては、しっかり審査のポイントを押さえて申請することが重要です。特に赤字決算などで経営状況に不安がある場合は、出入国在留管理局を納得させるだけの説得力のある書類を用意しなければなりません。

申請についてご不安な点があれば、まずは専門性の高い行政書士にご相談することを推奨いたします。

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】

国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
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