在留資格「介護」について

 

日本社会の高齢化の進行等に伴い、介護現場では質の高い介護スタッフを採用する必要性があることから、介護福祉士の資格を有する外国人が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行う場合に介護ビザ(在留資格)が付与されます。

 

現在外国人が介護職に就くためには、在留資格「介護」の他に「技能実習」「特定技能」「EPA」と計4つの在留資格がありますが、介護福祉士の資格所得が要件となっている「介護」は他の技能実習や特定技能と違い、日本での永続的な就労が可能となります。

 

⇒外国人が介護職で就労するには?4つの「在留資格」について確認する

 

在留資格「介護」の取得ルート

 

在留資格「介護」を取得するためには、介護福祉士の資格を有していることが必要となります。外国人が介護福祉士を取得する4つのルートについて解説させて頂きます。

 

①養成施設ルート

 

この養成施設ルートの場合、まず外国人は「留学生」として日本に入国し、介護福祉士施設(専門学校など)の卒業を経て、介護福祉士を取得します。

※平成29年度より、養成施設卒業者も国家試験合格が必要となっております。ただし、令和8年度までの卒業者には卒業後5年間の経過措置が設けられています。

 

②実務経験ルート

 

この実務経験ルートは、実務経験(3年以上介護等の業務に従事した方)+実務者研修(450時間以上)を経て、介護福祉士の試験に合格し、介護福祉士となるルートです。

 

・技能実習生として入国し、介護施設等での就労を3年以上経て、介護福祉士を取得する。

・特定技能(介護分野)で、介護施設等での就労を3年以上経て、介護福祉士を取得する。

・外国人留学生の資格外活動により、介護施設等での就労を3年以上経て、介護福祉士を取得する。

 

実務経験ルートの場合、外国人は主に上記の3つの方法によって、実務経験+実務者研修を経て、介護福祉士を取得します。

 

③福祉系高校ルート

 

福祉系高校(2009年度以降入学)で、定められた科目・単位を取得し卒業すると、介護福祉士国家試験を受験することができます。合格し、介護福祉士を有すると在留資格「介護」を取得できます。

 

④EPA(経済連携協定)ルート

 

このEPAルートは、介護福祉士候補者として入国し、介護福祉士養成施設(2年以上)または実務経験(3年以上)を経て、介護福祉士を取得するものとなります。

 

EPAとは、日本と相手国の経済活動の連携強化を図るもので、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国から外国人を受け入れています。

在留資格「介護」の特徴

 

介護職で働く外国人は、「介護」の在留資格の他に、「技能実習」や「特定技能」などの在留資格を保持しておりまが、技能実習や特定技能の在留資格では認められていない下記の2点が、在留資格「介護」では認められております。

 

・家族(配偶者・子)の帯同が可能

・在留期間更新の回数制限なし

 

その他、要件を満たせば永住許可をもらうことも可能です。

 

そのため介護職をしながら、外国人配偶者や子と長期期間日本に在留したい場合は、介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」に切り替えること必要となります。

 

在留資格「介護」の申請資料

 

1 在留資格変更許可申請書  1通

 

2 写真(縦4cm×横3cm)  1葉

※ 申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。

 

3 パスポート及び在留カード  提示

 

4 介護福祉士登録証(写し)  1通

 

5 労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき,労働者に交付される労働条件を明示する文書  1通

 

6 派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)

申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通

 

7 契約機関の概要を明らかにする次のいずれかの文書

(1)勤務先等の沿革,役員,組織,事業内容等が詳細に記載された案内書  1通

(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書  1通

 

8 技能移転に係る申告書【参考様式】

※ 在留資格「技能実習」からの資格変更の場合のみ必要です。

最後に

日本の少子高齢化に伴い、介護の現場では外国人スタッフに頼らざるを得ない状況が発生しております。一方で入管法に沿った在留資格制度は複雑であり、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で介護職をさせるなど、一歩間違えれば外国人を不法就労に従事させてしまうこともあります。

介護職で外国人を雇用するにあたっては、きちんと在留資格制度を把握し、正しく雇用していくことが最重要となります。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
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