「就労資格証明書」とは

就労資格証明書は、就労の在留資格を持つ外国人が転職などで勤務先が変わったような場合に、新しい勤務先での就労内容(従事業務、活動内容)が、現在の在留資格の活動に含まれていることを確認する目的で申請し、入国管理局から交付される証明書です。この就労資格証明書の交付手続きは法的義務ではありません。義務ではありませんが、次回更新申請時に転職先に関する審査が大幅に省略されるので、不許可になるリスクを激減させ、短期間で更新許可を取得できる効果があります。

「就労資格証明書」を取得しておいた方が良いケース

就労の在留資格で働く外国人が転職するときに、勤務先や従事業務が変わった場合には、在留資格の変更許可を得なければならない場合があります。

例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持ち、A社で通訳・翻訳担当者として働く外国人が転職し、B学校の私立中学校で英語教師として働くようなケースです。

このケースではA社とB学校では従事業務が変わりますので「技術・人文知識・国際業務」の在留資格から「教育」の在留資格に変更した後に、英語教師の業務に就くことになります。

一方、同じ人がA社を退職し、B社に転職した後も引き続き通訳・翻訳担当者として働く場合は原則、在留資格の変更は不要と考えられています。

現在の「技術・人文・国際」の在留期間が満了するまで、「技術・人文・国際」の在留資格で働くことが可能です。

しかし、その外国人の「技術・人文・国際」の在留資格は、A社で通訳・翻訳の業務に就くことを前提に許可されたものです。在留資格・在留期間の変更・更新時に、外国人本人とA社の会社情報や業務内容を入国管理局で審査し、許可された在留資格で、B社で働くことを前提に許可されたものではありません。そのため就労資格証明書には、新しい勤務先での従事業務が「現在の在留資格の活動に含まれる」ことを入国管理局が確認する意味があります。

「就労資格証明書」取得のデメリット

次回のビザ更新申請が非常に簡易的になる一方で、就労資格証明書を取得するための申請や審査はとても難易度が高いです。また、転職前と転職先の企業からさまざまな書類を収集する必要があり、ご自分で申請することが難しい外国人の方も多くいらっしゃいます。ただし、就労資格証明書を取得しないで次回更新を迎える場合、実質的に新規ビザ取得と同様の難しい手続きとなるため、ご自分で申請が難しい場合は更新時に専門家に依頼することになり、就労資格証明書取得時と同程度の費用が発生します。

ここで注意が必要なのは、就労資格証明書を取得せずに更新を迎える場合、審査の結果いきなり不許可となるリスクがあるということです。突然転職先で働けなくなるという事態が発生する可能性があり、再申請して許可を取得するための十分な時間の確保が難しくなります。更新まで時間がある方は、就労資格証明書の取得をおすすめいたします。 

必要書類

 

(1)就労資格証明書交付申請書

2)旅券(パスポート)または在留カード(提示できないときはその理由を記載した理由書

3)源泉徴収票(転職前の会社が発行したもの)

4)退職証明書(転職前の会社が発行したもの)

5)転職後の会社等の概要を明らかにする資料

A 法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)

B 直近の決算書の写し(新設会社の場合は、今後1年間の事業計画書)

C 会社等の案内書(取扱い商品あるいは提供するサービスの概要を説明するもの)

*上記の資料は、公刊物等で会社の概要が明らかになる場合は必要ありません。

6)次のいずれかで、転職後の活動の内容、期間、地位及び報酬の記載ある文書

A 雇用契約書の写し

B 辞令・給与辞令の写し

C 採用通知書の写し

D 上記AないしCに準ずる文書

7)本人の転職理由書

最後に

この就労資格証明書は、現在の在留資格の範囲内で働くことが可能であるかどうかを確認するための証明書となります。外国人の方が申請し、入国管理局で審査した結果、妥当であれば就労資格証明書を交付することとされています。外国人が転職するような場合に、新しい勤務先で仕事に就いたときに申請し、証明書の交付を受けることが一般的です。

それ以外にも、資格外活動の許可を得てアルバイトで働く場合に、従事する業務が「資格外活動の許可の範囲内」の業務内容であることを確認するために申請し、証明を受ける場合もあります。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
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