就労ビザとは何なのかを理解しよう

外国人が日本で仕事を行うためには、必ず就労可能な「在留資格」を保持していることが必要です。
就労ビザという正式用語はなく、世間一般では就労可能な在留資格を就労ビザと呼びます。外国人を雇用するにあたっては、必ず当該外国人が就労可能な在留資格を保持し、かつ貴社で働くにあたり、該当する在留資格を保持していることが必要です。在留資格は全てで約30種類ありますが、日本に在留する外国人のほとんどが下記10種類のうちのいずれかの在留資格を保持しています。

就労可能な在留資格

就労可能な在留資格はほとんどのケースで下記のつになります。

技能実習

日本で就労することにより、技術や技能、知識を習得し、帰国後に母国の発展に寄与することを目的とした制度です。
技能実習生の受入については、①日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式の企業単独型と②事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方式の団体監理型の2種類に分けられます。
よく建設現場等で見かける外国人の多くが、この技能実習制度を利用し就労を行っております。

技術・人文知識・国際業務

日本で就労を行う外国人の王道と言われる在留資格が、この技術人文知識国際業務となります。基本的に技能実習の受入においては、監理団体を挟むため、監理団体に監理費用等の支払いが発生しますが、当該在留資格は企業の直接雇用が主なりますので、日本人と同じような雇用形態で外国人の就労が可能です。

主に大学または専門学校を卒業し、当該学校で学んだことと職務内容に関連性があることが必要となります。また単純作業(コンビニのレジ、工場のライン工、建設現場で行う現場作業等)は原則対象外となります。

⇒技術人文知識国際業務の在留資格取得要件を確認する

技能

外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機等の操縦者,貴金属等の加工職人等が該当します。主に過去の実務経験が審査のポイントになっており、例えば、外国料理のコックとして、当該在留資格を取得する場合は、その料理人としての経験が原則10年以上必要となります。

経営・管理

日本で会社を経営する外国人や、本国の企業の日本支店等の管理者として活動する場合に取得する在留資格となります。企業の社長や、日本支店長などが該当します。

特定技能

201941日より人手不足が深刻な産業分野において「特定技能」での新たな外国人材の受入れが可能となりました。技能実習2号を良好に満了した外国人や、各分野の技能試、日本語試験に合格することが条件となります。

就労不可な在留資格

下記の在留資格は原則就労活動が不可となります。

留学

原則、留学生は就労することは出来ませんが、「資格外活動許可」を取得することにより、28時間以内であればアルバイトをすることが可能です。王道の就労可能な在留資格、技術人文知識国際と異なり、単純作業も可能です。

よくコンビニや居酒屋などで見かけるほとんどの外国人が、この資格外活動を利用し、アルバイトを行っております。
※たまに週28時間を超えるオーバーワークを行っている留学生がいますが、これは外国人当人だけでなく、雇用している企業にも罰則がありますので、注意しましょう。

家族滞在

主に日本で技術人文知識国際や経営管理の在留資格を取得し、就労する外国人の妻または夫が取得する在留資格となります。上記の留学と同様に、資格外活動許可を取得することにより、週28時間以内であればアルバイトをすることが可能です。

就労制限がない在留資格

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など、その身分等によって付与される在留資格を保持している外国人は、就労の制限がありません。
上記の就労可能な在留資格と違い、違法でない限り、どんな仕事にも就くことができます。

外国人を受け入れる企業としての責務

日本に在留する外国人は、その在留資格に該当する活動を行わなければなりません。例えば、技術人文知識国際の在留資格を保持している外国人が単純労働に従事することや、経営者としての活動を行うこと、また留学生が週28時間を超えてアルバイトを行うことは出来ません。

また不法就労(日本で働く資格の許可がないのに収入を伴う活動を行う)した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象になります。(不法就労助長罪)

ですので、外国人を雇用する際には、必ず在留カードを確認し、就労の適否を判断する必要があります。在留カードには「就労制限の有無」「資格外活動許可」が記載されます

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
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