介護ビザ

少子高齢化に伴い、介護の現場では恒常的に人手不足が発生しており、外国人人材に頼らざるを得ない現状となっております。日本政府も介護現場での人手不足に対応する為、積極的な外国人人材の獲得に向けて、介護職に対応する4つもの在留資格を設けております。

介護ビザの種類

介護職に従事する外国人が取得するいわゆる介護ビザ(在留資格)は4つの種類があり、それぞれ制度や趣旨が異なり、また本人の経歴や保持する資格によって取得できる在留資格が変動します。

EPA(経済連携協定)に基づく雇用

EPAとは、日本と相手国の経済活動の連携強化を図るもので、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国から外国人を受け入れています。

母国での学習経験や資格を持つ人を雇用できる

介護・看護の知識や経験に関して一定の要件を満たす外国人が、日本語研修を受けてから入国します。この日本語研修の前後で介護事業所とのマッチングが行われます。

入国要件は、日本語検定N5程度以上もしくはN3以上

日本語能力については、インドネシア・フィリピンは日本語能力試験N5 程度以上、ベトナムはN3以上で入国することができ、入国後もさらに日本語や介護の基礎に関する研修を受けた上で、介護事業所で雇用します。
なお、インドネシア人
及びフィリピン人候補者の9割は、就労開始時点でN3 程度の日本語水準に到達しています(平成30年度実績に基づく)。

介護福祉士を取得すれば、永続的な就労が可能

入国してから4 年目に介護福祉士の国家試験を受験します。合格すれば在留期間を更新しながら永続的に働くことができますが、不合格の場合は帰国しなくてはいけません。

在留資格「介護」での雇用

介護福祉士養成施設(専門学校など)を卒業し、介護福祉士となれば在留資格「介護」を取得できます。
その他、介護分野における技能実習や留学中の資格外活動による3年以上の実務経験に加え、実務者研修を受講し、介護福祉士の国家試験に合格した外国人にも在留資格「介護」が認められます。

介護福祉士の資格あり、永続的な就労が可能

介護福祉士資格を持っていますので、専門人材として期待でき、採用してすぐに配置基準に含めることができます。
また、在留資格「介護」の在留期間は、本人が望む限り、繰り返し更新できますので、永続的に働くことができます。ここが技能実習や特定技能との大きな違いとなります。

受入調整機関がないため、自主的な採用活動が必要

この制度は外国人の雇用にあたって調整を担う機関がないため、事業者が自ら介護福祉士養成校と連携するなど、自主的な採用活動を行う必要があります。

在留資格「技能実習生:介護」での雇用

技能実習制度は、日本で働きながら当該分野の技能や技術を学んでもらい、技能実習満了後に母国に帰国し、技術又は知識の移転を図ることを目的としたものです。
つまり、他の介護ビザと異なり、ゆくゆくは母国に帰国をすることを前提としております。

技能実習生で日本に滞在できる期間

上述の通り、技能実習は母国に技術または知識の移転を図ることを目的としていることから、日本に滞在できる期間が定められております。1~2年毎に試験があり、合格すれば最長5年の雇用が可能です。
入国1年後の試験に合格すると追加で2年、3年後の試験に合格するとさらに2年、実習を受けることができます。

その後は帰国し、母国で介護業務に従事します。ただし、技能実習期間中に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、日本で永続的に働くこともできます。
また、3年目まで修了した技能実習生は、下記に記載する「特定技能1号」に必要な試験が免除されます。

技能実習から在留資格「介護」への変更について

技能実習生が介護福祉士の国家試験を取得した場合、技能実習制度の制度趣旨から、在留資格「介護」を取得する際、「技能実習で学んだ技能等について本国への移転に努めるものと認められること」が要件となります。

在留資格「特定技能:介護」での雇用

「特定技能」は、平成314月から始まった、就労目的で外国人材を受け入れるための在留資格です。
特定技能の在留資格を取得するためには、働く外国人本人が、特定技能介護の技能試験及び日本語試験に合格していることが必要です。
※技能実習2号を良好に修了した者については,国際交流基金日本語基礎テスト及び日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。

介護事業所で最大5年間雇用することができます。5年後は帰国ですが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、永続的に働くことができます。

最後に

介護職で就労可能な在留資格は主に4種類あり、法改正や上陸基準省令の見直し等で複雑になっており、特定技能から介護の在留資格へ変更など、それぞれの在留資格が複合的に絡み合っております。
企業においては、それぞれの在留資格を把握し、どのような外国人人材を雇用したいのかを明確化し、採用活動を行っていくことが重要です。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

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