解説動画】留学ビザから経営管理ビザ
留学生の経営管理ビザについて以下のように考えている方へ
- 私は、日本に留学している。卒業後は、日本で会社を作って自分でビジネスをやってみたい。
- 私は、日本に留学したことがあるが途中で学校を中退してしまった。中退しても経営管理ビザを取得できるのだろうか。
- 私は、日本に留学している。卒業後に向けて就職活動をやっているが、なかなか厳しい状況だ。でも、あまり心配してない。だって、もしも就職できなかったら、日本で会社を作って経営管理ビザを取るつもりだから。
- 私は、日本に留学しているが、学校に行くのが嫌だ。だけど、日本にはいたい。だから、経営管理ビザを取得して日本にこのまま居続けるつもり。
- 私は、日本に留学している。同じような留学生の先輩が経営管理ビザを取って日本でビジネスをやっている。あの人にできたのだから、当然私もビザをもらえるに違いない。
- とりあえず会社さえ作ってしまえば、経営管理ビザなんて簡単にとれるに違いない。
- 経営管理ビザというものに興味がある。
この記事を読んでいるみなさんの中には、上記のように考えている人がいるのではないでしょうか。この記事は、そんなあなたにぴったりの情報が掲載されています。多くの人が疑問に思うよくある問題点を中心に説明することにします。
モデルケース
ビザの取得についての仕組みは、シンプルではありません。分かりにくいシステムや難しそうな専門用語を目にすることもあるでしょう。そこで、分かりやすく具体的にイメージしやすくするため、この記事では、以下のようなモデルケースをベースに情報を展開していきます。
【モデルケース】
Aさんは、20歳。日本の学校(以下、「タッチ大学」と言うことがあります。)で学んでいる留学生です。もちろん、「留学」の在留資格を持っています。少しでも親の経済的負担を軽くするため、Aさんは、翻訳のアルバイトをしています。きちんと「資格外活動許可」ももらったうえでのアルバイトです。
Aさんは、大学卒業後は、日本で起業したいと考えています。そのため、大学在学中である現在からすでに準備を進めているところです。
この記事で知ることができること
この記事では、以下のようなことを知ることができます。経営管理ビザと留学生という観点から分かりやすく記載されています。
- 中退や除籍・自主退学でも経営管理ビザを取得できるのか
- 経営管理ビザの取得に関する留学生のオリジナルの問題点とその解決策の案
- まとめと留学生としての今後の方針
中退や除籍・自主退学でも経営管理ビザを取得できるのか
(1)留学生が卒業後に経営管理ビザを取得するというケース
留学生が卒業後に経営管理ビザを取得するというケースをベースに考えていきましょう。上記モデルケースのAさんのようなパターンです。
ただ、その場合、心配になってくることがあります。一つ目が、学校を中退したとき。二つ目は、学校に入学したはいいが、卒業できていないというときです。以下、この2つについて、経営管理ビザをゲットできるのかどうか、そして、ビザを取得する上でどのような意味を持つかに関し説明します。
(2)中退していても経営管理ビザを取得することができるのだろうか
中退していてもOK
上記モデルケースのAさんが、タッチ大学を中退してしまっていた場合であっても、経営管理ビザを取得できるのでしょうか?そのアンサーは、YESです。なぜなら、経営管理ビザの取得要件として、大学等の卒業は必要とされていないからです。それどころか、そもそも経営管理ビザをゲットするには、学歴は不要です。
中退している場合のリスクとその対策
ただし、注意が必要です。なぜなら、こんな疑問が生じるからです。Aさんが日本に来たのは留学するためだったはずですが、それなのに途中で学校をやめ起業するというのは、いったいどういうことなのだろうか、という疑問です。個人個人事情が異なると考えられます。よって、自分なりにその理由や経緯を合理的に説明できるようにしておくことになるでしょう。
「学校に行きたくないから経営管理ビザをとりたい」と思っていることが判明してしまうと経営管理ビザの取得が難しくなりそうです。適切な事業計画の作成をすることで、その点をクリアしたいところです。
(3)除籍されていても経営管理ビザを取得することができるのだろうか
学校の出席率や成績が良くない
突然ですが、この記事を読んでいるみなさんは、学校に通って勉強したり、テストを受けたりすることは好きでしょうか?好きという人もいるでしょうが、苦手だという人もいるでしょう。もし後者の場合、授業に出席することがおっくうになりついつい学校を休んでしまうかもしれません。その結果、テストでもよいスコアをとれないということもありそうです。逆に勉強することに意欲があるという人であっても、体調不良やプライベートでの雑務などでなかなか思うような結果が出せないということも十分に考えられます。
これらの場合、学校によっては、退学させられてしまうこと(除籍)もあります。特に日本語学校や専門学校等では、授業への出席率を重視するためです。
除籍の事実の持つ意味
では、モデルケースのAさんが学校を除籍されていたという事実は、経営管理ビザをゲットする上でどのような意味をもつかというと、その事実がこれまでの在留状況が良くないと評価され、結果として不許可のリスクが高まります。
除籍された場合のプランB
ここまでの流れからすると、除籍された場合、留学ビザから経営管理ビザへの変更が難しい可能性があるということがわかりました。そうはいっても、過去は変えることはできません。ただ、別の手段を講じることはできそうです。いったん帰国し、経営管理ビザの「認定」を求めるという形をとることで、経営管理ビザを取得する可能性をより高めることができると考えられています。
経営管理ビザの取得に関する留学生のオリジナルの問題点とその解決策の案
(1)留学生ならではの問題点
モデルケースのAさんのように、留学生が卒業後に起業することを目指す場合、留学生ならではの問題点が生じます。いったいどのようなことでしょうか。以下では、2つ;①事業の安定性・継続性及び ②経営に実質的に参画することを取り上げます。
(2)「事業」の安定性、継続性との関係
事業の安定性、継続性が求められる
経営管理ビザを取得する動機は、日本でビジネスをやりたいからです。そのビジネスについて、経営管理ビザを取得するため求められるのは、その安定性・継続性です。これはどういうことかというと、途中で事業がうまくいかなくなってしまうようだとよくないということです。経営管理ビザは、あるアクティビティに対応するものである以上、その存在基盤といえるアクティビティが不安定でこれから先どうなるか分からないようなものであっては困るということ。
以上の観点から、審査要領では、経営管理ビザの取得に関し、その事業が安定して継続的に営まれるものと客観的に認められることが必要であるとされています。そして、これらの「安定性・継続性」があると認められるかどうかの判断は、様々な事情等から総合的に判断されます。
留学生のビジネスに生じる懸念
事業を営むということは、決して誰にでもできる簡単なことではないです。なぜなら、継続してまともな売り上げを上げ続けられるということは、日々の努力はもちろんのこと、才能、これまで培った長年の経験等がそのベースになっているといえるからです。
その点、留学生についてはどうでしょうか?そういえば、Aさんは、まだ20歳の大学生です。これまでの人生において経営なんてやったこともないし、人生経験も浅いです。多くの留学生も似たような状態ではないでしょうか。
そうだとすると、留学生に関しては、留学生ではない一般の人とは異なって、次のような問題が生じてきます。つまり、留学生は、「事業の安定性・継続性」が怪しいのではないかというものです。まだ経験が十分でないのだから、これから先まともにビジネスやっていけるのか心配になるということです。その評価は、結局のところビザの不許可という結末を導きます。
解決策の案
ここまで読んでいかがでしょうか?留学生だからというだけで事業の安定性・継続性を欠くだなんて決めつけられるのは納得いかない、という気持ちになった人もいるでしょう。なんとかして「私は大丈夫。ちゃんと安定性・継続性はクリアできます」と主張し経営者としての資質があることをアピールたいところです。
大事なことは、上記主張を基礎づけるデータを示し、具体的に説明するという点です。その手段として有効活用できそうなものの例として、取引先との契約書や具体的で詳細な事業計画書等が考えられます。
(3)経営に実質的に参画する
お金の問題
経営管理ビザの許可を受けるために必要とされているものの一つとして、資本金の額又は出資の総額が500万円以上であるというものがあります。この点についても、留学生が経営管理ビザを取得するに際し、懸念されることがあります。いったいそれは何でしょうか。経営管理ビザのシステムに基づきながら、以下説明していきます。
経営に実質的に参画していないといけない
経営管理ビザをゲットするには、いろいろと求められることが多いと思いませんか。上記アの他にこのようなものがあります。それは、申請者(Aさん)がやろうとしているビジネスの経営に実質的に参画又は従事するものでなければならないというものです。「Aさんは、実際に自分でちゃんとビジネスを動かしている」ということです。
その重要な判断要素の一つとして、申請人自身の投資額があります。しかも、その資金の出所等も含めたプロセスまでチェックされます。例えば、Aさん自身がほとんど投資していなければ、本当に実質的に経営に参画等しているのかどうか怪しいという評価につながります。
留学生ならではの懸念
上記ア・イを踏まえ、留学生のAさんについて生じる疑念があります。
Q1.Aさんは、留学生ですので、原則としてアルバイトをすることは許されていません。そうだとすると、その投資したお金は、いったいどこからどうやって手に入れたのか?
Q2.留学生であっても、例外的に、アルバイトをすることができるときもある。それは、資格外活動許可を取得しているとき。しかし、その場合であっても、勤務時間は、原則として、1週間に28時間までという制限がある。
Aさんは、ちゃんとそのルールを守っているのだろうか?まさか違法なオーバーワークをしていないだろうか?
リスクと対策例
上記のような2つの懸念があることを前提に、以下で上記Q1とQ2を補足し対策例を提示します。
まずQ1について、投資したお金の原資は、厳しく審査されます。
したがって、その点について合理的な説明ができるように準備しておくべきです。例えば親から支援を受けた等です。その際、立証しやすいようにするため、振込みにより送金を受けることが理想的です。
つぎにQ2についてです。仮に、Aさんが違法なオーバーワークをやってしまっていたらどうなるのでしょうか。頑張って働いてお金を貯めてそのお金を出資したのです。この場合、残念ですが、経営管理ビザが許可されない可能性が高まります。なぜなら、違法なことをやって作ったお金は、入管審査で不適正と判断されるからです。最悪の場合、経営管理ビザどころか出国を促されることさえあるとも言われています。
対策としては、事前の対策が肝心です。要するに、違法なオーバーワークをしないという意識の下、日々のアルバイトの時間管理を徹底するということです。
まとめと留学生としての今後の方針
(1)留学生の管理ビザについて要点の整理
ここまで読んでいかがでしょうか。難しい話もあったかもしれませんが、せっかくなので要点を整理してみましょう。
- 中退や除籍・自主退学でも経営管理ビザを取得できる。しかし、その理由等の説明が必要となることもあるから、100%安心はできない。
- 「事業」の安定性、継続性との関係で、留学生ならではの疑念を抱かれることがある。よって、個別の対策をしておく必要性がある。
- 経営に実質的に参画するという側面からも留学生は問題視されやすい。特に出資金の原資については、決して無視せず合理的な説明をすることになる。
(2)留学生のみなさんへのアドバイス
長期的ビジョンを持つ
今日、この記事をみなさんに読んでもらえて本当に良かったです。なぜなら、後からだとリカバーしづらく、事前に気を付けておくのがベストだというものがいくつかあるからです。例えば、先ほど述べたオーバーワークしないよう日頃から気を付けるという点等です。そこで、以下の2つを知っておくとよいでしょう。
計画的に動く
留学生の方は、学校を卒業するのは通常3月です。その後、留学ビザが終わるのは、4月か5月であると考えられます。このようにタイムリミットがある以上、決めるべきことを先延ばしにしたり、ぎりぎりになるまで準備を何もしないという事態は避けるべきだということになります。
留学中から気を抜かない
この記事で分かったように、留学中での出来事が経営管理ビザを取得できるかどうかの致命傷になることがあります。そうだとすると、経営管理ビザの取得を目指したその日からビザの取得に失敗しないようなふるまいをすることになります。例えば、除籍はされない方がいいに決まっていますので、日ごろから学校にできるだけ出席しテストの成績のことも意識するとベストです。
専門家に依頼する
そうはいっても自分でできることには限界があります。ただでさえ、慣れない異国の地で学業とアルバイトで忙しい毎日です。そのうえ、経営管理ビザの取得に向けすべてを完璧にするのはかなり厳しいのではないでしょうか。
みなさんの先輩の留学生で、経営管理ビザを取得し日本でビジネスをしている人の中には、行政書士に依頼したことにより成功を勝ち取った人が多くいます。なぜなら、一般的に経営管理ビザの取得は簡単ではなく、多くの方が行政書士等の専門家に依頼しているのが現状だからです。
弊社(行政書士法人タッチ)では、特に経営管理ビザに力を入れていますし、実績もあります。留学するというのは、一般的に決して簡単なことではありません。そのうえ、アルバイトをしながら異国の地で起業をしようとするそのマインドは、本当に尊敬に値することだといえるでしょう。弊社としては、そのようなみなさんを全力でサポートします。