経営管理ビザ

日本進出にかかる費用はどのくらいか―設立・許認可・ビザ・税務の目安

海外企業が日本進出を検討するとき、「実際にどのくらいの費用がかかるのか」は最初に気になるポイントです。日本進出にかかる費用は、進出形態・業種・事業規模・経営者のビザの要否などによって大きく異なります。

この記事では、会社設立・許認可・ビザ申請・税務・オフィス費用など、日本進出に関わる主な費用の目安を整理します。あくまで参考値であり、個別の状況によって変わりますが、全体感をつかむための参考にしてください。

会社設立にかかる費用

株式会社の場合

費用項目 目安金額
定款認証手数料(公証人) 約3〜5万円
定款の収入印紙(電子定款は不要) 4万円
登録免許税 15万円〜(資本金×0.7%、最低15万円)
登記事項証明書・印鑑証明書の取得 数千円〜
司法書士への依頼費用(任意) 5〜15万円程度
合計目安 約25〜40万円

 

合同会社の場合

費用項目 目安金額
登録免許税 6万円〜(資本金×0.7%、最低6万円)
司法書士への依頼費用(任意) 3〜10万円程度
合計目安 約10〜20万円

会社設立の費用だけであれば、合同会社のほうが低コストです。ただし、後述するビザ申請や許認可、税務顧問費用を含めると、設立費用の差は全体の中では相対的に小さくなります。

事務所(オフィス)にかかる費用

日本で会社を設立するには、登記上の本店所在地となる住所が必要です。また、経営管理ビザの申請では、実態のある事務所の確保が求められます。

バーチャルオフィス

住所だけを借りるサービスです。月額数千円〜数万円程度で利用できます。ただし、業種や経営管理ビザの申請において、バーチャルオフィスのみでは不十分と判断されるケースもあります。

レンタルオフィス・シェアオフィス

専用の個室や共用スペースを利用できます。月額2〜10万円程度が相場です。経営管理ビザの申請では、専用の執務スペースがあるレンタルオフィスが認められやすい傾向があります。

通常の賃貸オフィス

一般的なオフィスビルを賃借する場合、東京都内では月額数十万円〜が一般的です。入居時には敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用がかかります。

許認可申請にかかる費用

業種によっては、会社設立後に許認可を取得しなければ営業を開始できません。主な許認可の申請費用の目安は以下のとおりです。

許認可の種類 申請手数料(法定費用) 行政書士費用の目安
飲食店営業許可 数千円〜2万円程度 5〜10万円程度
建設業許可 9万円(知事許可) 10〜20万円程度
宅建業免許 3.3万円(知事免許) 10〜20万円程度
労働者派遣事業許可 9万円 15〜30万円程度
古物商許可 1.9万円 3〜8万円程度

許認可の種類によっては、申請から取得まで数ヶ月かかるものもあります。また、許認可の要件(資本金・事務所・人員など)を満たすための準備費用も別途かかります。

ビザ申請にかかる費用

代表者や駐在員が外国籍の場合、在留資格(ビザ)の申請が必要です。主な在留資格の申請費用の目安は以下のとおりです。

申請の種類 行政書士費用の目安
経営管理ビザ(認定) 30〜75万円程度
経営管理ビザ(変更) 30〜75万円程度
経営管理ビザ(更新) 8〜23万円程度
企業内転勤ビザ 15〜30万円程度

経営管理ビザの申請は、必要書類の準備・事業計画書の作成・事務所の確保など、申請前の準備コストも含めると総額が大きくなります。初回の認定申請は特に準備が多く、専門家費用も高めになる傾向があります。

また、ビザ申請の際には会社設立が済んでいることが前提になるため、設立費用・許認可費用・ビザ費用を合算した総額で資金計画を立てることが重要です。ビザの申請は出入国在留管理庁(入管)への申請となり、審査期間中は追加書類の提出を求められることもあります。審査期間は標準処理期間として1〜3ヶ月程度かかるケースが多く、その間も事務所賃料や税務顧問費用などの固定費は発生します。こうしたタイムラグを見越した資金の手当が必要です。

税務・会計にかかる費用

会社設立後は、税務申告・記帳・社会保険手続などを継続的に行う必要があります。税理士・社会保険労務士への顧問費用は以下のとおりです。

項目 月額目安
税理士顧問料 2〜5万円/月(規模による)
記帳代行 1〜3万円/月
社会保険労務士顧問料 2〜4万円/月
決算申告費用(年1回) 10〜30万円程度

設立初年度は届出・手続が多く、税理士への依頼費用が高めになることもあります。また、日本語での対応が難しい場合は、多言語対応の専門家に依頼するケースもあり、その場合は費用が上乗せになることがあります。

資本金について

会社設立において、最低資本金の法的制限はありません(1円からでも設立可能)。ただし、経営管理ビザの申請では、3,000万円以上の資本金が要件とされています(2025年省令改正による)。これは出入国在留管理庁(入管)が定める基準であり、事業の安定性・継続性を示す重要な要件です。

資本金の額は、事業開始後の運転資金・事務所の敷金・設備投資なども見据えて設定することが重要です。ビザ申請に必要な水準をクリアしつつ、実際の事業運営に必要な資金を確保する観点から、現実的な資本金の額を計画しましょう。

日本進出の総費用イメージ

以上を踏まえた、一般的な日本進出(子会社設立+経営管理ビザ取得)にかかる総費用の目安をまとめます。

費用カテゴリ 目安金額
会社設立(株式会社) 25〜40万円
事務所(初期費用) 数十万〜100万円以上
経営管理ビザ申請(専門家費用) 30〜75万円
許認可申請(業種による) 0〜30万円
税務顧問(初年度) 30〜60万円
合計目安 約100〜300万円以上+資本金

これはあくまで目安であり、業種・事業規模・専門家の選び方によって大きく変わります。資本金とは別に、これだけの初期費用が必要になることを念頭に置いて資金計画を立てることが重要です。

なお、上記の費用はいずれも「初期費用」であり、事業開始後も税務顧問料・社会保険料・オフィス賃料・人件費・許認可の更新費用などが継続的にかかります。単年度だけでなく、少なくとも2〜3年分のランニングコストも見越した資金計画を立てることが、安定した日本事業運営の基盤となります。また、為替レートの変動によって円換算の費用感が変わることも念頭に置いておきましょう。

翻訳・通訳にかかる費用

海外企業の日本進出では、日本語と外国語の間での翻訳・通訳が随所で必要になります。

定款や登記書類の翻訳、ビザ申請書類の翻訳、契約書の翻訳など、翻訳が必要な場面は多岐にわたります。翻訳費用は翻訳会社に依頼する場合、1文字あたり10〜30円程度が相場です。書類の量によっては数万円の費用がかかることもあります。また、取引先や官公署とのやり取りで通訳が必要になる場合、通訳費用(半日あたり3〜8万円程度)も別途発生します。多言語対応ができる専門家事務所に依頼することで、翻訳・通訳コストを一定程度抑えられるケースもあります。

また、公証・アポスティーユが必要な書類の場合は、現地での公証費用も別途かかります。書類の準備にかかる費用と時間は、国によって大きく異なるため、早めに確認・手配することをお勧めします。書類の不備や翻訳の誤りが原因で手続が遅延するケースも少なくないため、信頼できる専門家に依頼することが結果的にコスト削減につながります。

費用を抑えるためのポイント

日本進出にかかる費用を無駄なく使うために、以下のポイントを意識することが重要です。

会社形態の選択:許認可やビザの要件を満たしつつ、合同会社を選ぶことで設立費用を抑えられるケースがあります。

電子定款の活用:株式会社設立時に電子定款を利用することで、収入印紙代4万円を節約できます。

専門家の窓口を一本化する:司法書士・税理士・行政書士・社会保険労務士にそれぞれ個別に依頼すると、調整コストが増えるうえに費用が割高になることがあります。窓口を一本化できる専門家(または専門家グループ)に依頼することで、トータルコストを抑えられる場合があります。特に日本進出の初期段階では、複数の手続が同時並行で進むため、全体を俯瞰して管理できる専門家に相談することが費用対効果の観点からも有効です。

許認可の要否を早めに確認する:不要な許認可申請や、要件を満たさないまま申請して不許可になるケースを避けるため、事前に許認可の要否と要件を専門家に確認しておくことが重要です。

事業計画を現実的に立てる:資本金の額や事務所の規模を実態以上に大きくしても、費用が増えるだけです。ビザ審査・許認可要件を満たしつつ、現実的な規模で始めることが費用対効果を高めます。一方で、コストを削りすぎると事業の信頼性や継続性に疑問を持たれ、ビザ審査や取引先との交渉に影響が出ることもあります。費用の最適化は「削れるところを削る」ではなく「必要なところに適切に使う」という視点が重要です。

 

設立費用だけでなく、事務所・ビザ・許認可・税務など複数の項目を合算して考える必要があります。「思ったより費用がかかった」とならないよう、進出前の段階で全体の費用感を把握しておくことが重要です。

行政書士法人タッチでは、初回相談(無料)のなかで、お客様の事業内容・進出形態・ビザの要否に応じた費用の目安をご案内しています。「何にいくらかかるのか全体像を把握したい」「予算内で日本進出を実現したい」という方は、まずはお気軽にご連絡ください。費用の見通しを早めに把握することが、スムーズな日本進出への第一歩になります。なお、費用の目安は業種・進出形態・専門家の選び方によって大きく異なるため、具体的な金額は個別にご確認いただくことをお勧めします。

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

専門分野
外国人ビザ(在留資格)・帰化
主な取扱業務

・外国人在留資格申請、帰化
・対日投資に関する支援業務
 (経営管理ビザ,対日投資コンサルティング等)
・外国人材の雇用、技能実習監理、特定技能登録支援業務

開業以来、国際業務を専門とし、
年間1,000件以上の在留資格・帰化実務に対応

公式サイト
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