経営管理ビザ

日本進出のスケジュール感は?会社設立からビザ取得までの目安を解説

「日本進出を決断してから、実際に日本で事業を開始できるまでどのくらいかかるか」は、多くの海外企業が最初に気にするポイントです。結論から言えば、最短でも3〜4ヶ月、許認可やビザが絡む場合は6〜12ヶ月以上かかるケースが珍しくありません。

この記事では、日本進出の各ステップにかかる期間を整理し、スケジュール設計のポイントを解説します。

日本進出の主なステップと所要期間

Step 1:進出方針・形態の決定(1〜2週間)

最初のステップは、どのような形で日本に進出するかの方針決定です。子会社(日本法人)・支店・駐在員事務所のどれを選ぶか、資本金の額や事業目的をどう設定するかなど、後の手続に直結する重要な判断が含まれます。

この段階で専門家に相談しながら進めることで、後の手戻りを防ぐことができます。

Step 2:会社設立の準備・書類収集(2〜4週間)

基本事項が決まったら、設立に必要な書類を準備します。代表者が外国在住の場合、印鑑証明書の代替書類(在外公館でのサイン証明など)やアポスティーユの取得が必要になることがあり、国によっては書類収集だけで2〜3週間かかることもあります。

Step 3:定款認証・設立登記(2〜3週間)

定款の作成・公証人認証(株式会社の場合)と、法務局への設立登記申請を行います。登記申請から登記完了まで、法務局の混雑状況にもよりますが通常7〜10営業日程度です。

合同会社の場合は定款認証が不要なため、このステップはやや短縮できます。

Step 4:各種届出・口座開設(2〜4週間)

登記完了後、税務署・都道府県・市区町村への届出、社会保険の手続などを行います。法人口座の開設は、金融機関によって審査に時間がかかることがあり、外国人代表者・設立直後の法人に対して審査が厳しくなっている銀行もあります。口座開設だけで1ヶ月以上かかるケースもあるため、余裕を持って進めることが重要です。

許認可が必要な場合の追加期間

業種によっては、会社設立後に許認可を取得しなければ営業を開始できません。主な許認可の標準的な審査期間は以下のとおりです。

許認可の種類 標準的な審査期間
飲食店営業許可 2〜3週間程度
古物商許可 40日以内
建設業許可 約30〜60日
宅建業免許(知事免許) 約1ヶ月
労働者派遣事業許可 約2〜3ヶ月
産業廃棄物収集運搬業許可 60〜90日程度

許認可の審査期間中も、オフィス賃料・税務顧問料などの固定費は発生します。また、許認可によっては要件(資本金・人員・設備・財産的基礎など)を事前に整備する必要があり、その準備期間も含めると申請〜取得までさらに長くなります。

経営管理ビザが必要な場合の追加期間

代表者や役員が外国籍で、日本に来日して経営を行う場合は、経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の取得が必要です。

経営管理ビザの申請から許可までの標準処理期間は、出入国在留管理庁(入管)において1〜3ヶ月程度とされています。ただし、追加書類の提出を求められた場合や審査が長引いた場合には、さらに時間がかかることがあります。

また、ビザ申請には会社設立の完了・事務所の確保・事業計画書の準備などが前提となるため、「設立が終わってからビザ申請を始める」では時間のロスが大きくなります。設立の準備段階からビザ申請の準備を並行して進めることが、全体のスケジュール短縮につながります。

ケース別スケジュールの目安

ケースA:許認可不要・ビザ不要(日本在住者が代表)

ステップ 期間
方針決定・書類準備 2〜3週間
設立登記 1〜2週間
届出・口座開設 2〜4週間
合計 約1〜2ヶ月

 

ケースB:許認可不要・経営管理ビザあり

ステップ 期間
方針決定・書類準備 2〜4週間
設立登記 1〜2週間
届出・口座開設 2〜3週間
ビザ申請〜許可 1〜3ヶ月
合計 約3〜5ヶ月

 

ケースC:許認可あり・経営管理ビザあり

ステップ 期間
方針決定・書類準備 2〜4週間
設立登記 1〜2週間
届出・口座開設 2〜3週間
ビザ申請〜許可 1〜3ヶ月
許認可申請〜取得 1〜3ヶ月(種類による)
合計 約4〜8ヶ月以上

 

スケジュールを短縮するためのポイント

並行して進められる手続は同時に動かす

設立登記の申請中にビザ申請の書類準備を進める、登記完了後すぐに銀行口座の開設手続を始めるなど、待ち時間を有効活用することで全体の期間を短縮できます。

 

書類の不備をなくす

申請書類に不備があると、補正・再提出が必要になり、審査が大幅に遅れます。定款の事業目的の書き方、ビザ申請の事業計画書の内容など、専門家のチェックを受けることで不備による遅延を防げます。

 

外国語書類の手配を早めに始める

本国での公証・アポスティーユが必要な書類は、手配に想定以上の時間がかかることがあります。進出の意思が固まった段階で、必要書類のリストアップと手配を早めに開始することが重要です。

 

専門家に早めに相談する

「まず自分で調べてから相談しよう」と考えていると、準備に時間がかかり、その間も固定費だけが発生します。進出を検討し始めた段階で専門家に相談し、全体のスケジュールと優先順位を把握することが、結果的に最短ルートへの近道です。

よくある「時間を読み違えた」パターン

「会社設立は1週間でできる」と思っていた

インターネット上には「最短〇日で設立可能」という情報もありますが、それは書類が完璧に揃っていて、代表者が日本在住の場合のケースです。海外在住者が設立する場合、書類収集だけで数週間かかることを前提にスケジュールを組む必要があります。

 

銀行口座の開設に手間取った

外国人代表者の法人口座開設は、金融機関によって審査が厳しく、断られるケースもあります。複数の金融機関に当たる時間も考慮しておく必要があります。

 

ビザの審査が長引いた

経営管理ビザの審査は、書類の内容によって追加資料の提出を求められることがあります。審査が3ヶ月以上かかるケースも珍しくなく、その間の日本滞在・渡航計画への影響も念頭に置いておく必要があります。審査中は日本での活動に制限がかかる場合があるため、渡航タイミングや一時帰国の計画も余裕を持って設計することが重要です。

海外拠点との連携・時差の影響も考慮に入れる

日本進出のスケジュールを立てる際、見落とされがちなのが海外本社との連携に伴う時差・レスポンスタイムの問題です。

定款の内容や事業計画書の確認、書類への署名・捺印、資本金の送金タイミングなど、本社側の承認・対応が必要な場面は多数あります。本社が欧米にある場合、日本との時差は8〜15時間程度あり、1往復のやり取りに2日以上かかることも珍しくありません。

こうしたコミュニケーションコストを見込んだうえで、スケジュールに余裕を持たせることが重要です。特に法人設立の書類は、一度作成・認証した後の変更が難しいものもあるため、本社側の最終確認を得てから手続を進める順序を守ることが大切です。

事業開始後も継続的な手続が発生する

日本進出のスケジュールは、「事業開始」がゴールではありません。日本で会社を運営し続けるためには、以下のような定期的な手続が発生します。

税務申告:法人税・消費税・地方税の申告は毎期(通常年1回)必要です。決算月から2ヶ月以内が申告期限となります。

在留資格の更新:経営管理ビザは1年・3年・5年のいずれかの期間で許可されます。期限が近づいたら更新申請が必要です。更新申請は期限の3ヶ月前から可能であり、事業の継続性・安定性が改めて審査されます。

役員・住所変更の登記:役員の変更や本店移転が生じた場合、2週間以内に変更登記が必要です。

許認可の更新・変更:許認可によっては有効期間があり、更新申請が必要なものがあります。また、事業内容や事業所の変更があった場合は、変更届出が必要になることがあります。

これらの「進出後の手続」も見越してスケジュールを管理することが、安定した日本事業運営につながります。

想定外の遅延が起きた場合の対処

どれだけ計画的に準備を進めても、想定外の遅延が発生することはあります。よくある遅延の原因と対処法を整理します。

書類の不備・追加提出:入管や行政機関から追加書類の提出を求められた場合、迅速に対応することが審査期間の長期化を防ぎます。専門家を通じて申請している場合は、対応方針を専門家と相談しながら進めましょう。

資本金の送金遅延:国際送金は、送金元の銀行・受取銀行・送金額・送金目的によって時間がかかることがあります。特に初めての国際送金では確認書類の提出を求められることもあるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。送金が遅れると設立登記の申請自体が遅延するため、早めの手配が肝心です。

本社側の意思決定の遅れ:海外本社のスケジュールや意思決定プロセスが日本側の手続の進行に影響することがあります。事前に本社側の担当者と連絡体制・対応期限を共有しておくことが重要です。また、承認フローが複数の部門にまたがる場合は、スケジュールに2〜3週間のバッファを設けておくと安心です。

 

進出形態・業種・ビザの要否によって大きく異なります。許認可もビザも不要なケースでも1〜2ヶ月、経営管理ビザや許認可が必要なケースでは4〜8ヶ月以上かかることを前提にスケジュールを設計することが重要です。

「いつまでに日本で事業を開始したいか」というゴールから逆算して、早めに準備を始めることが、スムーズな日本進出の鍵となります。行政書士法人タッチでは、初回相談(無料)でお客様の状況に合わせたスケジュール感と優先順位をご案内しています。「いつ頃までに日本で事業を始めたい」というご希望をお知らせいただければ、逆算したスケジュール案をご提示することも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

専門分野
外国人ビザ(在留資格)・帰化
主な取扱業務

・外国人在留資格申請、帰化
・対日投資に関する支援業務
 (経営管理ビザ,対日投資コンサルティング等)
・外国人材の雇用、技能実習監理、特定技能登録支援業務

開業以来、国際業務を専門とし、
年間1,000件以上の在留資格・帰化実務に対応

公式サイト
https://touch.or.jp/
日本語・English
中文