ケース別の永住申請

技術人文知識国際業務ビザから永住権の取得について

技術国際から永住権サムネ

技術人文知識国際業務ビザとは

技術人文知識国際業務ビザとは、外国人が日本で働くために必要になる在留資格のことで就労ビザとも呼ばれています。実際に日本で働く外国人のほとんどが、この技術人文知識国際業務ビザで日本に在留しています。

技術人文知識国際業務ビザは、お仕事を辞めた場合は在留資格の取消要因になりますし、オフィスワーク以外の職務内容に従事できないなど一定の制限があります。

また、独立して個人事業主や法人経営者になることも在留資格を変更しない限りできません。そのため、今後日本で生活をしていくにあたって技術人文知識国際業務ビザから永住権の取得を考える外国人の方は非常に多くいます。

このページでは,技術人文知識国際業務ビザから永住権を取得するポイントを解説していきます。

技術人文知識国際業務ビザから永住権取得のための条件

技術人文知識国際業務ビザから永住権取得のための条件は以下の6つです。

  1. 在留期間について
  2. 現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
  3. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  4. 日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
  5. 素行が善良であること
  6. 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

①在留期間について

永住申請をするには、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要で、そのうち就労系(技術人文知識国際業務等)の在留資格をもって5年以上日本に住んでいることが必要です。

例えば、留学で7年在留してから技術人文知識国際業務ビザに切り替えて3年在留している場合は住居条件を満たしません。この場合は、留学で5年、技術人文知識国際業務ビザで5年以上在留している必要があります。また、この就労系の在留資格をもって5年以上とは、永住申請から起算して直近5年のことを指します。

したがって、例えば技術人文知識国際業務ビザで2年間勤務した後、留学の在留資格に切り替えて学校に通い、その後、技術人文知識国際業務ビザに再度切り替えて3年就労している場合は、直近5年間が就労ビザでの在留ではないため、住居要件を満たしません。さらに、この場合は収入要件を満たすことも困難ですので、永住申請から起算して直近5年間は技術人文知識国際業務ビザをもって日本に在留している必要があります。

出国に対する考え方は他の在留資格から永住申請をするのと同様で、出国が多い場合は、引き続き10年以上の要件のカウントがリセットされることがあります。1回の出国で90日以上、または1年間で半年以上出国した場合は永住申請においてマイナスの要因となります。

②現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

現在付与されている技術人文知識国際業務ビザの在留資格の在留期間が、最長であることが要求されています。つまり、技術人文知識国際業務ビザの在留資格を持っていても在留期間が1年で付与されている場合はこの要件を満たしません。

技術人文知識国際業務ビザの在留資格は、1年、3年、5年の在留期間といずれかとなっています。この場合、5年の在留期間が必要と考えるかと思いますが、3年以上の在留期間でこの要件を満たすことができます。

③独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

技術人文知識国際業務ビザからの永住権の取得の場合、収入に関する条件は他の在留資格からの申請とほとんど変わりません。1つの目安として300万円以上、扶養者1人につき20万円から30万円の上乗せが必要です。結婚して配偶者が家族滞在ビザで在留していてアルバイトをしている場合、配偶者の収入は加算されません。

④日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

生活保護を受給し公共の負担になっている場合は、永住権の取得は難しいです。結婚している場合で配偶者が生活保護を受けている場合も同様です。

⑤素行が善良であること

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

技術人文知識国際業務ビザから永住権を申請する場合の1番の注意点は、既婚者の方で配偶者が「家族滞在」の在留資格のケースです。資格外活動許可を得てたとしても週28時間を超えて働いている場合は素行善良要件を満たしません。これは、申請者自身のことでなくとも監督不行届として素行善良要件に影響してきます。その他の要件は他の在留資格からの申請と同じです。

⑥罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

住民税と年金を適正な時期に納めていることが必要です。未払いがある場合は論外ですが、支払い済みの場合でも納付期限に遅れがあれば永住申請で許可を得るのは難しいです。永住申請では適正な時期に適正な納税をしていることが必要です。

技術人文知識国際業務ビザについてのまとめ

このページでは、技術人文知識国際業務ビザから永住権取得のためのポイントを解説いたしました。技術人文知識国際業務ビザから永住権を取得する場合の収入要件は、2019年7月から、直近5年分(それまでは直近3年分)の課税証明書の提出が必要となりました。

これまでは3年分の課税証明書の提出でよかったのですが5年分になったため、より長期間安定した収入を維持する必要があり、以前より収入の条件のハードルが上がっています。また、2021年10月からは【了解書】という書類が追加され、審査期間中に転職をした場合は直ちに入国管理局に報告する必要があります。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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