目次
経営管理ビザとは
経営管理ビザは、日本でビジネスを運営する外国人が取得できる在留資格の1つです。
たとえば、日本国内で新たに会社を設立し経営者として活動したい場合や、既存の会社において管理職として活動したい場合などに取得することができます。
経営管理ビザを取得することで、外国人は日本国内でビジネスを運営するだけでなく、長期間の滞在が認められます。
さらに、経営管理ビザを取得すると、配偶者や子どもを日本に呼べる可能性があります。
申請者に扶養能力が必要になるなどの要件はありますが、家族と一緒に日本で過ごせるという大きなメリットがあるのも経営管理ビザの特徴の1つです。
ただし、経営管理ビザを取得するには具体的な事業計画が必要です。
事業計画には、事業の目的や規模、継続性などが含まれます。
また、事業を行うための事業所が確保されている必要があるなど、細かな要件があります。
永住権とは
永住権とは、日本に長期間住み続ける外国人が取得できる在留資格です。
永住権を取得すると、日本国内での就労や居住に関して多くの自由が得られます。
たとえば、永住権を取得することで、日本の法律に触れていなければ自由に仕事ができる他、日本での活動や在留期間に制限がなくなり、安定した生活基盤を築くことが可能です。
また、永住権は要件を満たせば、家族揃っての許可申請ができます。
家族も一緒に日本に滞在できれば、日本での生活がより豊かなものとなります。
ただし、永住権を取得するには、いくつかの要件を満たす必要があります。
通常、申請者は10年以上の継続した在留が求められますが、配偶者が日本人である場合や、特定の条件を満たす場合には、期間が短縮されることもあります。
また、申請者は安定した収入を持ち、適切に納税していることを証明しなければならない他、過去に重大な犯罪歴がないこと、法律を遵守していることも要件に含まれます。
経営管理ビザと永住権の比較
経営管理ビザと永住権は、どちらも外国人が日本で長期間滞在するための在留資格ですが、それぞれの目的や特徴には違いがあります。
まず、経営管理ビザは日本で事業を運営・管理するための在留資格です。
新規に事業を開始する場合や既存の事業を継ぎ、管理などをする場合に必要となります。
一方、永住権は日本に無期限で滞在するための在留資格です。
永住権は日本での長期的な生活基盤を築くための在留資格であり、職業選択の自由や在留期間の無期限化といった生活全般に関わるメリットがあります。
このように、経営管理ビザと永住権はそれぞれ異なる目的と特徴を持つ在留資格です。
とはいえ、会社を経営している方であれば、契約や融資といった実務の中で、永住権を持っていたほうが有利になるケースが多いのも事実です。
そのため、経営管理ビザから永住権の取得を希望する方が多くいらっしゃいます。
永住権取得のための要件
経営管理ビザから永住権を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
具体的には、以下の要件を満たしていなければなりません。
- 十分な在留期間があること
- 規定されている最長の在留期間をもって在留していること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 公共の負担にならず将来において安定した生活が見込まれること
- 素行が善良であること
- 納税といった公的義務を果たしていること
①十分な在留期間があること
永住申請には、原則として10年以上継続して日本に在留していることが必要です。
そのうち、就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務、経営管理など)で5年以上滞在している必要があります。また、技術・人文知識・国際業務ビザで3年間滞在し、その後に経営管理ビザで2年間滞在することでもこの要件をクリアできます。
ただし、頻繁な出国がある場合は、継続在留の期間がリセットされることがあります。
たとえば、1回の出国が90日以上、または年間で合計180日以上の場合、在留期間がリセットされてしまい、永住申請をできなくなるおそれがあるため注意してください。
②規定されている最長の在留期間をもって在留していること
現在の在留資格が入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間であることが必要です。
経営管理ビザの場合、在留期間は1年、3年、または5年のいずれかとなりますが、永住申請には少なくとも3年以上の在留期間が必要とされています。
③独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
永住権取得のためには、安定した収入や資産を有していることが求められます。
経営管理ビザの場合、役員報酬が審査の基準となり、年間300万円以上の収入が目安とされています。さらに、扶養家族がいる場合は、その人数に応じて20~30万円程度の追加の収入が必要です。
また、会社の経営が安定していることも重要で、少なくとも2期以上の黒字決算が望ましいとされています。
④公共の負担にならず将来において安定した生活が見込まれること
永住権を申請するためには、生活保護など公共の負担になっていないことが要件です。
また、将来にわたって安定した生活が見込まれることも重要視されます。
つまり、経営管理している事業を安定させ、十分な収入を得ていなければなりません。
⑤素行が善良であること
法律を遵守し、社会的に非難される行為をしていないことが求められます。
過去に懲役刑や罰金刑を受けている場合は、一定期間をおくのが無難です。
どの程度期間をあけるかは、刑の重さや罰金の金額によりますが、目安としては5年から10年程度となっています。
また、軽微な交通違反は問題にならないことが多いですが、飲酒運転や重度のスピード違反などは刑事罰に当たるため、相当期間をあけてから申請すべきです。
⑥納税といった公的義務を果たしていること
住民税や年金などの公的義務を適正に履行していることが要件に含まれます。
会社経営をしている方の場合は、法人税や事業税なども対象です。
また、自身と会社が社会保険に加入していること、個人に対する納税や保険料の支払いが期限通りに行われていることが求められます。
すでに未払いがある場合や、支払いが遅れた場合、永住権の取得は難しくなります。
経営管理ビザから永住権への移行のためのポイント
経営管理ビザを持つ外国人が永住権へ移行するためには、いくつかポイントがあります。
具体的には、事業の安定性と社会保険への加入が重要視されています。
事業の安定性
経営管理ビザから永住権を申請する際は、申請者が経営する事業の安定性が審査対象となります。なぜなら、経営者の報酬は会社の業績に大きく依存するためです。
会社の業績が悪化すれば、報酬が減額される可能性があり、最悪の場合、役員から解任ということもありえます。そのため、永住権申請においては、申請者が安定した収入を確保しているかどうかを確認するために、会社の業績を重要視しています。
具体的には、会社が債務超過の状態にある場合、つまり負債が資産を超えている場合には、安定した収入を確保できているとは言えません。
また、たとえ債務超過でなくとも、連続して欠損が出ている場合には報酬が引き下げられる可能性が高く、安定収入の観点からも問題視されます。そのため、永住権取得の可能性を高めるためにも、直近2年程度は黒字であることが望ましいです。
社会保険への加入
永住権の審査の際は、申請者個人の納税・納付状況だけでなく、経営する会社の納税・納付状況も重要な審査項目に含まれます。特に、社会保険(厚生年金、健康保険)への加入は重要視されるポイントの1つです。社会保険については、たとえ社長のみの一人会社であっても、法人事業所であれば加入しなければなりません。
また、経営者が永住権を申請する際には、年金事務所が発行する社会保険料納入証明書を提出する必要があります。もし社会保険に加入していない、社会保険料を納付していない、または納付期限に遅れている場合、永住権の審査において大きなマイナス要因となります。
必ず社会保険に加入し、遅滞なく社会保険料を納付することが求められます。
経営管理ビザに関するご相談は行政書士までご相談ください
当事務所では、経営管理ビザから永住権の取得に関する手続きを全面的にサポートしています。
経営管理ビザから永住権を取得に移行するには、厳しい要件を満たさなければなりません。
継続して10年以上の在留や就労系ビザでの5年以上の在留、現在の在留資格が最長の在留期間であること、安定した収入に加え適切な社会保険への加入も求められます。
さらに、法律を遵守し、公共の負担にならないことも要件に含まれます。
事業の安定性や社会保険への正しい加入も重要なポイントです。
当事務所では、こうした要件を満たすためのアドバイス・サポートを実施しています。
もし、経営管理ビザから永住権取得へ移行する際に疑問や不安がある場合には、「行政書士法人タッチ」が丁寧にお答えし、適切なアドバイス・サポートをさせていただきます。
経営管理ビザから永住権の取得に関してお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。
なお、無料相談のご予約は、当事務所へのお電話またはお問い合わせフォームから承っております。どうかお気軽にお問い合わせください。