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永住申請での学生時代の年金について
当事務所に多くあるお問い合わせの中でも、永住申請を検討している外国人の方からの「学生時代に年金を払っていたか覚えていない、未納があっても大丈夫ですか」というお問い合わせをよく受けます。
結論としては、学生時代の年金に未納があったとしても、それだけをもって永住申請が不許可になる可能性は低いです。このページでは学生時代の年金について解説をします。
学生時代の年金制度
留学で日本に来日して、卒業後に就労ビザに切り替えて日本に在留している外国人は、国民年金と厚生年金に加入している場合がほとんどです。厚生年金は就職先の企業が管理をしてくれるので、自動的に給与から厚生年金の負担分が天引きされるので問題になることはほとんどありません。
学生時代の国民年金への加入期間について
ここで問題になるのが学生時代の国民年金への加入期間についてです。日本では20歳以上の方は日本人、外国人の双方ともに年金への加入が義務付けられています。しかしながら、学生には年金を毎月納める経済的な余裕はありません。
そのため、学生の場合は国民年金の支払いの猶予申請をおこなうことで、合法的に毎月の支払いが猶予されます。これは日本人であればほとんどの方が知っていますし、現に学生納付特例制度を使用していることが大半です。
しかしながら、日本に留学できた外国人の場合は、この制度を知らずに放置しているケースがよく見受けられます。放置しているということは未納という状況になります。そのため、就職をして永住申請の検討に入った段階で、この学生時代の年金のことを思い出してどうすればよいかと不安になるかと思います。
学生時代に学生納付特例制度を使用して支払いの猶予をうけている方は問題になりませんが、何もせずに未納になっている場合には、永住申請前に最寄りの年金事務所に相談をして、自分の年金記録を確認するようにしましょう。
学生時代の年金に未納があった場合
学生時代の年金に未納があった場合はどうすればよいのでしょうか。結論から申し上げるとどうすることもできません。なぜなら、国民年金の時効は2年間と決まっているからです。
すでに永住申請の準備を進めている場合、とっくに学校を卒業してから2年経っていることがほとんどです。そのため、後からまとめて未納分を払うということができません。
そのため、永住申請の段階でどうこうすることはできませんので、そのまま申請をすることになりますが、冒頭でも申し上げた通り学生時代の年金が未納であることだけをもってして永住申請が不許可になる可能性は低いです。理由については下記に記載します。
永住申請での年金の審査について
まず、永住申請での年金に関する条件を確認しましょう。
永住申請での年金に関する条件
罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
上記の内容を年金だけに要約すると、年金を支払い済みであることに加えて適正な時期に納めていることが必要です。支払い済みの場合でも納付期限に遅れがあれば永住申請で許可を得るのは難しいです。永住申請では適正な時期に適正な納税をしていることが必要です。
また、永住申請での年金の支払い状況が分かる書類を確認しましょう。
永住申請での年金に関する書類
年金書類:申請人及び申請人を扶養する方の公的年金の納付状況を証明する資料
(1)直近2年間の年金の支払い状況が分かる資料
ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
※日本年金機構のホームページから,ねんきんネットに登録することができます。
(2)直近2年以内に国民年金に加入していた期間がある場合
国民年金保険料領収証書(写し)
上記の通り、永住申請で年金に関する書類の提出は直近2年分の資料で足ります。つまり、学生時代の年金については特に提出する資料はありません。そのため、学生時代の年金が未納であることだけをもってして永住申請が不許可になる可能性は低いという結論になります。
永住申請における学生時代の年金についてのまとめ
このページでは永住申請における学生時代の年金について解説しました。ポイントとしては、20歳以上であれば学生でも国民年金の支払いが発生するので支払いが難しい場合は猶予申請をする点と、国民年金の時効は2年の為、後から支払おうとしてもできないという点です。
学生時代の年金に不安のある方は是非1度当事務所にお問い合わせください。