経営管理ビザ

あなたの事業に許認可は必要か――注意が必要な業種と申請先

日本で会社を設立したら、すぐに事業を始められる――そう考えていると、思わぬ足止めに遭うことがあります。日本では、業種によっては、営業を始める前に行政機関の「許認可」(許可・登録・免許・届出)を受けることが法律で義務づけられているからです。一方で、すべての事業に許認可が必要なわけではありません。コンサルティングや一般的なIT・ソフトウェア、多くの卸売・貿易などは、特別な営業許可なしに始められます。大切なのは、まず「自社の事業に許認可が要るのか」を、事業内容が固まった早い段階で見極めることです。本記事では、許認可の要否の考え方、代表的な業種と「誰に・いつ」申請するのかの“地図”、そして許認可を会社設立・在留資格(ビザ)と同時並行で進めるべき理由を、許認可を専門領域とする行政書士がやさしく解説します。

この記事でわかること

  • 「会社を作る=すぐ営業できる」ではない――許認可が要る事業と、要らない事業の見分け方
  • 業種ごとに申請先が分かれる「許認可の地図」(許可/登録/免許/届出の別と、所管する官庁)
  • 外国法人が関わりやすい代表業種(古物商・飲食店・酒類・宿泊・旅行業)の要点と注意ポイント
  • 許認可を会社設立・在留資格と「同時並行」で進めるべき理由
  • 許認可は行政書士の本来業務――当法人のサポート料金と、無料相談のご案内

まず誤解を解く――「会社を作れば、すぐ営業できる」とは限らない

日本進出の準備では、会社設立や在留資格(ビザ)に注目が集まりがちで、「許認可」は見落とされやすいテーマです。しかし業種によっては、許認可こそが開業の前提になります。たとえば中古品を売買するには警察(公安委員会)の許可が、飲食店を開くには保健所の許可が必要で、これらが下りるまでは営業を始められません。「会社さえできれば、あとは自由に商売できる」という感覚で進めると、登記は終わったのに営業が開始できない、という事態に陥ります。

ここで重要なのは、許認可の多くが「会社(法人)」に対して与えられる、という点です。原則として、会社が成立してから(または設立と並行して)申請します。さらに、会社の目的を定めた「定款」(会社の基本ルールを記した文書)の事業目的に、許認可に必要な記載がないと、申請の段階でつまずくことがあります。つまり、許認可は「会社を作ってから考える」のではなく、設立の定款を作る段階から織り込んでおく必要があるのです。

出発点は「自社に許認可が要るか」の見極め

最初にお伝えしたいのは、日本での事業すべてに許認可が必要なわけではない、ということです。許認可が要るかどうかは事業の内容しだいで、要らずに始められる事業も数多くあります。まずは「自社はどちらに当てはまるか」を確認することが出発点です。

許認可なしに始められることが多い事業の例としては、経営コンサルティングなどの専門サービス、一般的なIT・ソフトウェアの開発や受託、Webサービス、多くの卸売業や貿易(取り扱う商品によっては許認可が関わる場合があります)などが挙げられます。一方、特定の業種は法律で許認可が義務づけられています。代表的なものとしては、飲食店、中古品の売買(古物商)、酒類の販売、宿泊・民泊、旅行業、人材派遣、建設業、不動産業(宅地建物取引業)、運送業、そして輸出入に関わる一部の事業などがあります。

ただし、同じ「飲食」「貿易」でも、提供する内容や取り扱う商品によって要否や必要な許認可の種類が変わります。「自社の事業には必ずこの許可が要る/要らない」と早合点せず、事業内容の詳細に基づいて一つずつ確認することが大切です。判断に迷う場合は、後述する無料相談で、要否の見極めから整理できます。

許認可の「地図」――誰が許可を出すのか早見表

日本の許認可で外国法人が戸惑いやすいのが、申請先が業種ごとにバラバラだという点です。海外でよくある「事業の許可は役所のワンストップ窓口でまとめて」という感覚とは異なり、日本では制度ごとに所管する官庁が分かれる“縦割り”の構造になっています。中古品なら警察(公安委員会)、飲食なら保健所、酒類なら税務署、旅行業なら観光庁や都道府県……というように、「同じ会社の事業でも、許認可ごとに申請する相手が違う」のがふつうです。

あわせて押さえておきたいのが、制度の「型」の違いです。日本の許認可は、大きく「許可」「登録」「免許」「届出」などに分かれ、それぞれ手続きの重さや審査の厳しさが異なります(一般に、許可・免許は審査が重く、届出は比較的軽い、という傾向があります)。代表的な業種を、業種 × 制度の型 × 申請先(所管)で一覧にすると、次のようになります。

事業(例) 制度の型 申請先(所管) 主な根拠法
中古品の売買・買取(古物商) 許可 都道府県公安委員会(主たる営業所を管轄する警察署を経由) 古物営業法
飲食店(レストラン・カフェ・居酒屋等) 許可 保健所 食品衛生法
酒類の販売(未開封の酒類を継続して販売) 免許 所轄税務署長 酒税法
民泊(住宅宿泊事業) 届出 都道府県知事等(保健所設置市・特別区を含む) 住宅宿泊事業法(民泊新法)
民泊(特区民泊) 認定 指定自治体 国家戦略特別区域法
宿泊(簡易宿所・旅館/ホテル営業) 許可 保健所(都道府県知事等) 旅館業法
旅行業(第1種) 登録 観光庁長官 旅行業法
旅行業(第2種・第3種・地域限定) 登録 都道府県知事 旅行業法
労働者派遣事業 許可 厚生労働大臣 労働者派遣法
建設業 許可 国土交通大臣/都道府県知事 建設業法
宅地建物取引業(不動産) 免許 国土交通大臣/都道府県知事 宅地建物取引業法
一般貨物自動車運送事業 許可 国土交通大臣(地方運輸局) 貨物自動車運送事業法

※上記は代表例です。同じ業種でも、取り扱う商品・サービスや営業の方法によって、必要な許認可の種類・有無が変わります。要否の最終判断は、各官庁の公式情報と専門家への確認をおすすめします。

外国法人が関わりやすい代表業種をくわしく

ここからは、外国法人が関わることの多い代表的な業種について、「何の許認可か・どこに申請するか・どこで注意したいか」を順に見ていきます。

中古品の売買(古物商許可)

中古品を売買・交換したり、買い取って販売したりする事業(リユース店、中古車・中古機械の売買、買取業など)には、古物営業法に基づく「古物商許可」が必要です。申請先は都道府県の公安委員会で、実際の手続きは、主たる営業所の所在地を管轄する警察署を経由して行います。営業所ごとに、業務を適正に行う責任者として「管理者」を1名選任しなければならない点も特徴です。許可が下りるまでには、申請からおおむね40日前後(標準的な処理期間。警察・自治体により異なります)かかります。

日本進出で注意したいポイント

許可の連絡が来る前に営業(とくに買取)を始めてしまうと、無許可営業になりかねません。許可が下りるまで取引を始められないため、開業スケジュールに余裕を見ておく必要があります。なお、中古車・中古部品を買い付けて海外へ輸出するようなケースでは、古物商許可に加えて中古車オークションの会員登録や輸出の手続きなど、業種特有の論点が重なります。この具体的な段取りは、今後の業種別の事例編でくわしく取り上げます。

飲食店(飲食店営業許可)

レストラン・カフェ・居酒屋などの飲食店を開くには、食品衛生法に基づく保健所の「飲食店営業許可」が必要です。2018年の法改正(2021年6月施行)で、国際的な衛生管理手法であるHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が制度化され、許可業種も再編されました(従来の「喫茶店営業許可」は飲食店営業許可に一本化されています)。店舗ごとに「食品衛生責任者」(衛生管理の担当者。講習の受講などで取得)を1名置く必要があり、施設が基準を満たしているかを確認する保健所の検査もあります。申請から許可までは、おおむね2〜3週間程度(自治体・施設により異なります)が目安です。

日本進出で注意したいポイント

飲食店営業許可だけでは足りない場合があります。深夜0時から朝6時の時間帯に酒類を主に提供する業態(バー・居酒屋など)では、別途「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を警察署へ提出する必要があります。また、テイクアウトやデリバリー、取り扱う品目(菓子・惣菜の製造など)によっては別の許可・届出が必要になることがあり、酒類を未開封のまま販売する場合は後述の酒類販売業免許(税務署)も関わります。何が必要かは、店舗の業態が固まった段階で保健所・専門家に確認するのが安全です。

酒類の販売(酒類販売業免許)

未開封の酒類を継続的に販売する事業には、酒税法に基づく「酒類販売業免許」が必要で、申請先は販売場の所在地を管轄する税務署長です(飲食店でグラスに注いで提供するだけなら、この免許は不要です)。免許は、販売先によって「小売」と「卸売」に大きく分かれ、さらに取り扱う品目や販売方法(店頭・通信販売など)によって種類が細分化されています。審査には原則として2か月程度を見込む必要があります。

日本進出で注意したいポイント

輸入酒を扱う場合は、区分に注意が必要です。たとえば、自社で輸入した酒類を卸売するには「輸入酒類卸売業免許」、インターネットなどで2都道府県以上の消費者に小売するには「通信販売酒類小売業免許」というように、販売の形態ごとに別の免許が必要になります。「酒類の免許を一つ取れば何でも売れる」わけではないため、「どこから仕入れ・誰に・どの方法で・何のお酒を売るのか」を整理してから、必要な免許を見極めることが大切です。

宿泊・民泊(3つの制度を見分ける)

宿泊事業には、似て非なる3つの制度があり、どれを選ぶかで要件も手続きも申請先も変わります。第一に、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)に基づく「届出」です。都道府県知事等への届出で始められますが、年間に人を宿泊させられる日数の上限が180日とされています。第二に、国家戦略特区の「特区民泊」で、指定された自治体の「認定」を受ける制度です(日数上限の考え方が民泊新法とは異なります)。第三に、旅館業法に基づく「許可」で、簡易宿所営業や旅館・ホテル営業がこれにあたり、保健所が所管します。年間を通じて制限なく営業したい場合は、旅館業法の許可が選択肢になります。

日本進出で注意したいポイント

同じ「民泊」でも、選ぶ制度によってルールがまったく異なります。さらに、住宅宿泊事業法では自治体が条例で営業日数やエリアに独自の制限(上乗せ)を設けている場合があり、近年は制限を強化する自治体も出ています。物件の所在地でどの制度が使えるか、どんな条例があるかは地域差が大きいため、必ず物件所在地の自治体窓口で最新の内容を確認してください。

旅行業(旅行業登録)

旅行を企画・手配して販売する事業には、旅行業法に基づく「登録」が必要です。取り扱える業務の範囲によって区分が分かれ、海外の募集型企画旅行まで広く扱える第1種は観光庁長官の登録、それ以外(第2種・第3種・地域限定)は主たる営業所を管轄する都道府県知事の登録となります。登録には、一定の財産的基礎や、利用者保護のための営業保証金(旅行業協会に加入する場合は弁済業務保証金分担金で代えられます)の備えに加え、営業所ごとに「旅行業務取扱管理者」という有資格者を選任することが求められます。

日本進出で注意したいポイント

取り扱う旅行の種類(海外か国内か、企画旅行か手配旅行か)によって、必要な区分・財産的基礎・選任すべき管理者の資格が変わります。日本に営業所を持たない海外の旅行会社が日本語サイトで申し込みを受け付けても、日本の旅行業法上の登録を受けていなければ、利用者は同法の保護を受けられません。日本で旅行業を営むには、日本での登録が前提になる点を押さえてください。

このほか、外国法人が関わりやすい例として、人材派遣を行う労働者派遣事業(厚生労働大臣の許可)、建設業(国土交通大臣または都道府県知事の許可)、不動産の売買・仲介を行う宅地建物取引業(国土交通大臣または都道府県知事の免許。事務所ごとに「宅地建物取引士」の設置が必要)、トラック運送を行う一般貨物自動車運送事業(国土交通大臣=地方運輸局の許可)などがあります。輸出入に関わる事業でも、取り扱う商品によっては前述の酒類・食品などの免許・許可が関係します。

なぜ許認可は「同時並行」で進めるべきか

許認可は、外国法人の進出スケジュールを左右する典型的なクリティカルパス(全体の所要期間を決めてしまうボトルネック)です。その理由は大きく3つあります。

理由① 許認可は時間がかかる

申請してから許可・登録が下りるまでには、業種によって数週間から数か月を要します。「申請してから結果を待つ」しかない性質のため、後回しにするほど開業が後ろ倒しになります。

理由② 定款の事業目的と連動する

前述のとおり、許認可の前提となる事業が定款の事業目的に書かれていないと、申請の段階でつまずきます。

理由③ 設備・事業所や有資格者の要件がある

許認可には「人」と「設備・事業所」の両面の要件をもつものが多く、たとえば食品衛生責任者・宅地建物取引士・旅行業務取扱管理者といった有資格者の設置や、保健所による施設検査が求められます。これらは、会社設立や在留資格のスケジュールと密接に絡みます。

とくに注意したいのが、事業所(住所)の問題です。実体のない事業所――バーチャルオフィスやレンタル会議室など――では、在留資格「経営・管理」(経営管理ビザ)の「独立した事業所」要件を満たせないだけでなく、許認可でも、施設基準や事業所の実体を確認する場面で通らないことがあります。なお在留資格「経営・管理」は2025年10月の基準改正で、独立した事業所の確保に加え、資本金・常勤職員・事業計画書などの要件が厳格化されており(詳しくは経営管理ビザの記事をご覧ください)、早めの並行準備の重要性はいっそう増しています。会社設立・在留資格・許認可は、それぞれ別の手続きでありながら、事業所・事業計画・事業の実体という“同じ材料”を共有しています。だからこそ、設立がすべて終わるのを待ってから許認可に着手するのではなく、要否の確認や書類準備を設立と並行して、できるだけ早く動かすことが重要です。

見落としやすい4つのポイント(横断)

ここまでの内容を、見落としやすいポイントとして整理しておきます。

① 申請先が業種ごとにバラバラ

公安委員会・保健所・税務署・観光庁・都道府県知事・厚生労働省・国土交通省……と、業種ごとに手続き先が分かれます。海外の「ワンストップで許可」という感覚のままでいると、想定より手続きが複雑になります。

② 実体のない事業所では通らないことがある

バーチャルオフィス等は、在留資格でも許認可でも要件を満たさない場面があります。最初の住所選びが、ビザ・口座・許認可に連鎖的に影響します。

③ 無許可営業には罰則がある

多くの許認可では、許可・免許・登録を受けずに営業すると罰則の対象になります。「知らずに始めてしまった」を避けるためにも、事業内容が決まった早い段階で要否を確認してください。

④ 「会社を作ってから」では遅い

許認可は時間がかかり、定款の事業目的とも連動します。設立・在留資格と並行して、早めに準備を進めることが、開業を遅らせないコツです。

許認可は行政書士の本来業務――まずは要否の見極めから

日本では、進出にかかわる手続きは、登記は司法書士、税務は税理士、労務は社会保険労務士、というように専門家の担当が分かれています。そのなかで、許認可の申請手続きそのものは、行政書士の専門領域(本来業務)です。行政書士法人タッチは、国際業務を専門とする行政書士法人として、許認可の申請を直接お引き受けできます。あわせて在留資格(ビザ)の申請取次・書類作成も行政書士が担い、会社設立の登記は提携する司法書士が、税務は税理士が、労務は社会保険労務士が担当する――という役割分担のなかで、タッチが全体の窓口として連携します。

当法人の営業許可サポート料金(税込)は、次のとおりです。許可申請にかかる法定手数料・実費は別途で、料金表にない業種は別途お見積りとなります。

事業 当法人のサポート料金(税込)
古物商(中古品の販売) 77,000円
飲食業(食堂・レストラン、持ち帰り・配達飲食サービス業) 77,000円
酒類の製造・販売 198,000円
民泊(特区民泊) 275,000円
民泊(簡易宿所) 297,000円
旅館・ホテル業 418,000円
旅行業 別途お見積り

※上記は当法人のサポート料金(税込)です。許可申請にかかる法定手数料・実費は別途かかります。会社設立そのものの費用は別の費目です(→「進出費用」の記事)。

許認可で最も大切なのは、申請のテクニックよりも、「自社の事業に許認可が要るのか、要るなら何の許認可を・誰に・いつ申請するのか」という全体設計です。ここを見誤ると、設立・在留資格を含めた進出全体が後ろ倒しになります。まずは要否の見極めと全体像の整理から始めるのが、結局はいちばんの近道です。

まずは無料相談から(STEP 0:無料相談)

「自社の事業に、日本の許認可は必要なのか」「必要なら、何の許可を・誰に・いつ申請すればよいのか」を整理するところから始めませんか。行政書士法人タッチでは、初回のご相談を無料で承っています(STEP 0:無料相談)。事業内容と進出のご計画をうかがい、許認可の要否の見極めと、会社設立・在留資格を含めた手続きの全体像をご案内します。

ご相談の結果、具体的な支援が必要になった場合は、内容に応じた有料の支援プラン(PHASE 1:初期コンサルティング 330,000円〔税込〕〜 など)をあらためてご提案し、費用の見通しを丁寧にご説明します。まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ
メール:contact@touch.or.jp
電話:埼玉オフィス 048-400-2730 / 東京オフィス 03-6825-0994

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

専門分野
外国人ビザ(在留資格)・帰化
主な取扱業務

・外国人在留資格申請、帰化
・対日投資に関する支援業務
 (経営管理ビザ,対日投資コンサルティング等)
・外国人材の雇用、技能実習監理、特定技能登録支援業務

開業以来、国際業務を専門とし、
年間1,000件以上の在留資格・帰化実務に対応

公式サイト
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