永住許可(永住資格)は、日本在留歴が10年以上になった場合に取得を検討する方が多いと思いますが、単に長く日本に住んでいるだけで取得できる簡単なものではありません。
永住許可に関するガイドラインで示された厳格な要件を満たす必要がありますし、そのための必要書類も膨大です。
この記事では、永住許可(永住資格)の要件と申請の流れ、必要書類について解説します。
日本で永住許可(永住資格)を取得するには
永住許可(永住資格)とは、在留資格「永住者」のことです。永住許可を取得すると、在留活動と在留期間の制限がなくなるため、在留期間の更新などの手続きから解放されます。
仕事も自由にできるようになりますし、銀行からも融資を受けやすくなるなど、様々なメリットを享受できるようになります。
在留資格としては大変恵まれた資格であるだけに、永住許可を取得するためには、厳格な審査をクリアする必要があります。
永住申請の流れ
日本では外国人が永住者の在留資格で上陸を許可されることはありません。
永住者以外の在留資格で在留する外国人が、在留資格の変更や取得の手続きを行う際に、在留資格「永住者」を検討することになります。
そのためには、まず、在留資格「永住者」の要件を満たしているかどうか確認する必要があります。
①要件の確認
在留資格「永住者」の要件は、永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)で示されています。
法律上の要件は次の3つです。
- 素行が善良であること(素行善良要件)
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)
素行善良要件とは、日本の法令に違反して拘禁刑や罰金等の刑罰を受けていないこと、少年法による保護処分を受けていないこと、日常生活や社会生活において違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないことといった要件を満たしていることを意味します。
交通ルールに違反して罰金を支払ったケースでも、素行善良要件を満たしていないと判断されることがあるので注意が必要です。
独立生計要件は、日常生活において公共の負担となっておらず、申請者の職業や資産等から将来も安定した生活が見込まれることを意味します。端的に言えば、生活保護を受けておらず、安定した仕事に就いているかどうかということです。
なお、申請者本人が安定した仕事に就いていなくても、配偶者がいて世帯単位で生活が安定していれば問題ないケースもあります。
国益要件とは、原則として引き続き10年以上日本に在留していることという、本邦居住要件を初めとする要件です。
その他、次の要件を満たすことが求められます。
- 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。
- 罰金刑や拘禁刑等を受けていないこと。
- 納税等の公的義務を果たしていること。
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
なお、本邦居住要件は、一定の場合は緩和されることもあります。
例えば、外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者については、5年以上の在留でも認められることがあります。
以上が法律上の要件でありますが、この説明のみであると、具体的にどのような状況であれば、永住許可の要件を満たすのか非常に分かりにくいかと思います。
以下、現在の入管審査要領および事例等を踏まえ、実情的な要件を説明いたします。
引き続き10年以上日本に在留していること
日本に引き続き10年以上在留していることが必要です。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
※高度専門職、日本人または永住者の配偶者、日本人または永住者の実子、定住者の方等については、10年という居住要件が緩和されております。
「引き続き」という表現になっていますので、10年の在留している期間内に長期の出国がある場合は注意が必要です。長期出国をすることによって、居住年数がリセット(つまり0)とみなされる可能性があります。
具体的には、
- 連続して100日以上出国している場合
- 年間のうち合計で半数(6か月)以上出国している場合
が該当します。
ただし、当該出国にあたって、会社命令による長期の海外出張、里帰り出産など出国に関して合理的な理由があれば、問題なしと判断される可能性がありますので、永住申請時に理由書などできちんと説明することが重要です。
年収が300万円以上であること
永住申請者は、日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることが求められ、継続的に収入を得ていることを証明する必要があります。
一般的には、年収が300万円以上であることが目安とされており、扶養家族がいる場合は扶養者1人につき20~30万円の上乗せが求められます。
収入については、原則、市区町村が発行する住民税の課税証明書で判断されます。
なお、永住申請においての年収は、
就労系の在留資格、定住者の方は⇒直近5年分
日本人の配偶者等・永住者の配偶者等⇒直近3年分
の収入が審査対象となります。
つまり、就労系の在留資格をお持ちの方は、原則5年連続で300万円以上の収入を維持することが求められます。
配偶者のアルバイトでの収入は原則世帯収入に加算することはできません。
配偶者も同様に就労系の在留資格等を保持し、正社員として就労している場合は、配偶者の収入も世帯収入として見てもらえる可能性が高いです。
税金・年金・保険等の公的義務を履行していること
各種税金、年金、保険等の公的義務を履行していることが必要です。永住申請においては、下記の項目が確認されます。
- 住民税 直近5年間
- 年金 直近2年間
- 健康保険料 直近2年間
- 国税 過去に未納がないか
尚、完納しているだけでなく、上記期間、きちんと期日を守って支払っていることが永住許可を取得するための条件となります。
素行が善良であり、罰金刑や懲役刑を受けていないこと
罰金刑や懲役刑を受けていないことが重要です。過去にこれらの刑を受けていた場合は、処分の日から一定期間(5~10年程度)経過している必要があります。
また交通違反の回数も審査において確認されます。免許停止処分を受けいている方は、免許停止を受けた日から少なくとも5年間は、永住許可が下りませんので注意が必要です。
②書類の収集・作成
在留資格「永住者」の審査は、その外国人への在留審査としては、最終審査の意味合いがあります。それだけに、出入国在留管理局も厳格な審査を行いますし、必要書類も膨大になりがちです。取りこぼしのないように収集し、作成しましょう。
現在、就労資格を得ている場合の一般的な必要書類は次のとおりです。
- 永住許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 永住許可を必要とする理由書
- 申請人を含む家族全員の住民票
- ①戸籍謄本②婚姻証明書③出生証明書④認知届の記載事項証明書等のいずれか
- ①在職証明書②確定申告書控えの写し③営業許可書の写し④職業に係る説明書及びその立証資料のいずれか
- 住民税の課税(又は非課税)証明書
- 住民税の納税証明書
- 住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し等)
- 次の5税目の納税証明書①源泉所得税及び復興特別所得税②申告所得税及び復興特別所得税③消費税及び地方消費税④相続税⑤贈与税
- ねんきん定期便又はネットの「各月の年金記録」の印刷画面
- 国民年金保険料領収証書(写し)
- 健康保険被保険者証(写し)
- 国民健康保険被保険者証(写し)
- 国民健康保険料(税)納付証明書
- 国民健康保険料(税)領収証書(写し)
- 健康保険・厚生年金保険料領収書(写し)
- 社会保険料納付証明書又は社会保険料納入確認(申請)書
- 高度専門職ポイント計算表(永住許可申請時点)
- 高度専門職ポイント計算結果通知書(80点以上)の写し
- 高度専門職ポイント計算表(永住許可申請の1~3年前時点)
- 高度専門職ポイント計算に係る疎明資料
- ①預貯金証明書の写し②不動産の登記事項証明書
- 身元保証書
- 身元保証書に係る資料
- 我が国への貢献に係る資料(ある場合のみ)
- 了解書
なお、必要書類は、申請者が現在どのような在留資格で滞在しているのかにより異なりますので、正確な必要書類は専門の行政書士にお問い合わせください。
③申請
出入国在留管理局では、申請前に永住許可の要件に該当するかどうか確認するように求めています。
行政書士に相談依頼していれば問題ありませんが、ご自身の判断で申請する場合は、出入国在留管理局が用意しているチェックシートを利用して、要件を満たしているかどうかよく確認しましょう。
④(必要な場合のみ)追加書類の提出
永住許可の審査は、他の在留資格と比べても厳格なため、追加の書類の提出を求められることもあります。
その場合は、速やかに書類を用意して提出する必要があります。
また、申請等取次者が永住許可申請を行う場合でも、申請者本人に直接尋ねたい点がある場合は、出入国在留管理局への出頭が求められることもあります。
その場合も都合をつけて出頭する必要があります。
⑤結果の確認
永住許可の審査が終わると永住許可申請に係る結果通知書が送られてきます。
許可された場合は、結果通知書と必要書類を用意し、出入国在留管理局で在留カードの交付を受けます。
出入国在留管理局によっては、後日交付や赤いレターパック(レターパックプラス、600円)を持参したうえで後日郵送して貰う方法も取れます。
永住許可(永住資格)申請の必要書類について
永住許可申請の必要書類は、現在の在留資格が何であるかにより異なります。
大きく分けると、就労関係の在留資格を有している場合と、就労関係以外の資格による場合が挙げられます。
前者の例は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」、「高度専門職」、「特定活動」等です。
後者の例は、日本人の配偶者、日本人の実子、定住者、家族滞在などです。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの就労関係から「永住者」の在留資格を目指す場合は、「永住許可を必要とする理由書」が必要になりますし、住民税の納税証明書も5年分必要になるなど、必要書類が多くなる傾向があります。
一方、日本人の配偶者が「永住者」の在留資格を目指す場合は、「永住許可を必要とする理由書」は必要ないですし、住民税の納税証明書も3年分で足りるなど、必要書類は少なくて済みます。
永住許可申請の必要書類はケースによって異なりますから、分からない場合は、専門の行政書士にご相談ください。
永住許可(永住資格)申請の審査期間について
永住許可申請の審査期間は、他の在留資格と比べて長期化します。
出入国在留管理局でも標準処理期間は4ヶ月と公表していますし、6ヶ月、1年かかることもあります。
これだけ長い期間がかかると審査期間中に様々な事柄が変わることもあります。
永住許可申請の必要書類の一つに、了解書がありますが、これは、審査期間中に転職等をした場合は直ちに出入国在留管理局に報告するという内容の文書です。
永住許可申請の審査期間中は、申請時の内容が変わるような行動は極力避けるべきですが、やむを得ず転職した場合等は速やかに出入国在留管理局に報告する必要があります。
永住許可(永住資格)を取得するためのポイント
在留資格「永住者」を取得するためには、永住許可に関するガイドラインで示された要件を満たすことがポイントです。
素行善良要件、独立生計要件、国益要件の3つが主な要件ですが、日頃から日本の法令を遵守して、納税等も滞納しないことが大切です。
経済的に安定した仕事に就き、引き続き10年以上日本に在留することが目安になりますが、この期間については、ケースバイケースです。
また、永住許可の申請では数年前の書類も必要になります。過去の納税状況や収入などで引っかかると、やはり永住許可取得が困難になります。
日本在留歴が10年になれば、自動的に永住許可が取得できるという簡単なものではないので、将来、永住許可取得を希望される場合は、早めに行政書士に相談し、申請時に要件をすべてクリアできる状態を目指しましょう。
永住許可申請をお考えの方はお早めに専門家にご相談ください
当事務所では、永住許可(永住資格)申請のサポートを全面的に承っています。
お客様が在留資格「永住者」の要件を満たしているか確認させていただき、満たしている場合は必要書類もすべて準備することができます。
要件を満たしていない場合でも、永住許可を取得するにはどうしたらよいか、アドバイスいたします。
永住許可取得のハードルは高く困難を極めることもありますが、当事務所がサポートすれば、スムーズに手続きを進めることが可能になります。
永住許可申請をお考えの方は「行政書士法人タッチ」へご相談ください。