目次
この記事で解決できること
- 永住権の取得方法や条件の確認
- 永住権取得のメリット・デメリット
- 日本の永住権取得までの道のり
こんな悩みをお持ちの方へ
- これから永住権の取得を目指される方
- 永住権の取得を検討しているが条件が分からない方
- 永住権が不許可になり、再申請をご検討されている方
~記事のまとめ~
- 永住権を取得するには3つの条件をクリアする
- 永住権取得までには6カ月以上かかる
- 永住申請する際は入念な準備を
永住権とは
永住権とは、外国人の方が現在の国籍を変えず、日本に長期間住み続けられる権利です。
永住権を取得すると、日本に無期限で滞在することができ、さらに就労制限がなくなるなど、さまざまなメリットがあります。
たとえば、永住権を取得することで、在留期間の更新手続きが不要となります。
日本国内での生活がより安定したものとなるため、日本で就労ビザを取得して働いている外国人の多くが永住権取得を目指しています。
なお、日本における永住権は、法務大臣の許可を得ることで取得可能です。
永住権取得に向けて
日本に中長期間住んでおり、今後も長期的に日本で生活を送るため、永住権の取得を考えられる外国人の方も多いかと思います。一方で永住権の全体の許可率は50%(2020年)と、申請した外国人のうち二人に一人は不許可になっています。永住申請は、日本での永住権を付与するか否かを決める極めて重要な審査であるため、様々な要件が定められており、その審査や手続きは非常に難解であります。
では、どうすれば永住権を取得できるのか?
永住権の要件をきちんとクリアしていること、その他長期出国など審査上不利益になるようなことがあれば、状況説明書などを作成し、申請に臨むことが重要です。
日本の永住権取得の3つの条件
日本の永住権を取得するためには、以下3つの条件を満たす必要があります。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
上記3つが法律上の条件として定められています。上記は3つは具体的にどのような状況であれば満たしていると判断されるのでしょうか。
(1)素行が善良であること
まず、素行が善良であることが求められます。
日本の法律を遵守し、社会的に非難されるような行為を行っていないことが条件です。
具体的には、以下のような事項が審査されます。
・犯罪歴の有無
過去に罪を犯していないことが重要です。特に、懲役刑や罰金刑を受けたことがある場合、その処分の日から一定期間(5~10年程度)経過している必要があります。
・交通違反の有無
軽微な交通違反は問題ない場合が多いですが、刑事罰である飲酒運転や重大なスピード違反などは審査に影響を与える可能性があります。
こちらも処分の日から一定期間経過している必要があります。
・税金や社会保険料の支払い状況
適正に税金や社会保険料を納付し、2年程度の支払い実績を積み上げていることが重要です。
納税義務を怠っている場合、永住許可が下りないことがあります。
これらの条件を満たすことで、素行が善良であると認められます。
特に、日本での生活が長期である場合、その間の行動が重要視されます。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
次に、安定した生活基盤があることが求められます。
一定の収入や資産を持ち、公共の負担とならないことを示さなければなりません。
具体的には、以下の要件が挙げられます。
・安定した収入
永住申請者は、日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることが求められ、継続的に収入を得ていることを証明する必要があります。
一般的には、年収が300万円以上であることが目安とされており、扶養家族がいる場合は扶養者1人につき20~30万円の上乗せが求められます。
収入の判断基準は市区町村発行の課税証明書で判断されます。
なお、永住申請においての年収は、就労系ビザ、定住者⇒直近5年分、日本人の配偶者等・永住者の配偶者等⇒直近3年分の収入が審査対象となるのが原則です。
・技能や資格
特定の技能や資格を有していることも評価されます。たとえば、高度な専門職や技術職の場合、その技能を証明するための資格証明書や職歴証明書が有効です。
例)夫の在留資格:技術人文知識国際業務妻の在留資格:家族滞在
※妻は夫の扶養に入っている。
上記ケースで永住権を取得したい場合、少なくとも夫の年収は320~330万円ほどあるのが望ましいです。
※妻の家族滞在でのアルバイト収入は原則世帯収入に加算することはできません。
妻も夫と同様に就労系の在留資格を保持している場合は、妻の収入も世帯収入として見てもらえる可能性が高いです。
なお、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在で夫や妻の扶養に入っている外国人の場合は、その扶養者の年収を起点として考えて問題ございません。
・資産の保有
収入が不十分な場合は、一定の資産を保有していることが求められます。
銀行口座の残高証明書や不動産の所有証明書などが必要です。
独立の生計を営む能力を証明するためには、上記の要件を満たし、申請書類に必要な証明を添付することが重要です。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
最後に、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることが必要です。
具体的には、以下の3つの点が考慮されます。
・長期の在留実績
原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。
この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)または居住資格をもって5年以上在留していることが求められます。
たとえば、技術・人文知識・国際業務などの在留資格を持っている場合、その資格で5年以上日本に住んでいることが条件となります。
また、「引き続き」の内容が重要となり、出国が多い場合等は「引き続き10年」のカウントがリセットされることがあります。1回の出国で3か月以上日本国外に滞在、または、1年間の日本国外の滞在日数の合計が150日以上になると、引き続き居住しているとは認められない可能性が高いです。
・公的義務の履行
納税や社会保険料の適正な支払いが求められます。特に住民税や健康保険、年金の支払い履歴が重要となり、これらの義務を適切に履行していなければなりません。
・住民税 直近5年分
※日本人配偶者等の場合は、直近3年分
・年金 直近2年分
・保険料 直近2年分
具体的には、上記期間に支払いの漏れがないことが求められます。
支払いの遅滞が一回でもあった場合は、永住申請が不許可になる可能性が高まります。
会社員の方で給料から天引きされている方は心配ありませんが、個人事業主の方や転職期間がある方は注意が必要です。
・罰金刑や懲役刑の有無
素行の善良要件と同様、罰金刑や懲役刑を受けていないことが重要です。過去にこれらの刑を受けていた場合は、処分の日から一定期間(5~10年程度)経過している必要があります。
・最長の在留期間
現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していることを要します。ただし、当面の間は、在留期間「3年」を有する場合は「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われることとされています。
・公衆衛生上の問題がないこと
公衆衛生上の観点から問題がないことも重要です。
たとえば、伝染病を有していないことや薬物依存症でないこと等が確認されます。
また、テロリストや反社会勢力に加入しているといった状況がある場合は、永住申請の許可は得られません。
以上の条件を満たすことで、その者の永住が日本国の利益に合すると認められます。
特に、日本に対する貢献や日本社会との関わりが深いことが評価されます。
永住権を取得するメリット
永住権を取得することには多くのメリットがあります。
・在留期間の更新が不要
永住権を取得すると、在留期間の更新許可申請を行う必要がなくなり、7年に1回の在留カード交換の手続きを行うのみとなります。
手続きのために入管に出頭するスパンが長くなることに加え、申請のための各種必要書類を収集する必要もなくなる等、定期的な手続きの負担が大幅に軽減されます。
・就労の制限がなくなる
永住権には就労制限がないため、自由に職業を選ぶことができます。
今までは会社員としての活動のみが認められていた外国人などは、会社の経営やフリーランス的な働き方を選択できるようになります。
また、仕事を辞めても問題ございません。
・社会的信用の向上
永住権を持つことで、住宅ローンの審査が通りやすくなるなど、社会的信用が高まります。銀行や金融機関に対する信用度が増し、経済的な活動がしやすくなります。
・生活の安定
永住権を持つことで、日本での生活が長期的に安定します。特に、家族と共に長期的に生活する場合、その安心感は大きなメリットとなります。
永住権を取得するデメリット
一方で、永住権を取得することによる唯一とも言えるデメリットが存在します。
・高度専門職の親の帯同が認められない
現行制度では、就労を目的とする在留資格で在留する外国人の親の受入れは認められていないため注意が必要です。
例外的に、 (1)高度外国人材又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合、(2)高度外国人材の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度外国人材本人の介助等を行う場合については、高度外国人材又はその配偶者の親(養親を含みます。)の入国・在留が認められます。
このように、永住権を取得すると高度専門職の親の帯同が許可されている場合、一部の例外を除き、その資格が失われるデメリットがあります。
永住許可申請の方法
永住許可申請には、以下の2つのケースがあります。
現在持っている在留資格から変更する場合
現在持っている在留資格を永住者に変更する場合、以下の手順が必要です。
① 永住申請に必要な書類の取得
永住申請に必要な書類を取得します。
これには、申請書、住民票、課税証明書、納税証明書、在職証明書などが含まれます。
収集には1〜2か月かかることがあります。
② 永住申請に必要な書類の作成
申請書や理由書を作成し、必要に応じて状況説明書を添付します。
申請書には、申請者の基本情報や永住を希望する理由を詳細に記入します。
審査上、不利になることは理由書を作成し、合理的な説明を行う必要があります。
③ 最寄りの出入国在留管理局で永住申請
最寄りの出入国在留管理局に申請書類を提出します。
提出時には、全ての書類が揃っていることを確認し、不備がないように注意します。
書類に不備があると申請が受付されない可能性があるため、きちんと準備を行いましょう。
④ 審査期間
約4〜8か月の審査期間があります。
審査中に追加資料の提出が求められることもありますので、入管からの連絡には速やかに対応します。この期間中、入管が申請者の素行や資産、納税状況などを詳しく審査します。
⑤ 結果の通達
申請から約4〜8か月後に結果の通達があります。
許可の場合、永住の在留カードを入管で受け取ります。
不許可の場合は、その理由を確認し、再申請の準備を行います。
出生等により永住者の在留資格を希望する場合
出生などで永住者の在留資格を希望する場合も、基本的に上記と同様の手続きが必要です。
ただし、以下の点が異なるため注意が必要です。
・申請期間
出生やその他の事由が発生した日から30日以内に申請を行います。
この期限を守らないと申請が受理されない場合があるため、速やかな手続きが必要です。
・手数料
通常、永住申請が許可された場合は8,000円の手数料が必要です。
しかし、出生等により永住者の在留資格を希望する場合、手数料は不要です。
なお、特定の状況によっては必要書類などが異なることもあるため、詳細は専門家に相談することをおすすめします。
当事務所でサポートできること
当事務所では、永住許可申請のサポートを全面的に行っております。
まず、当事務所が必要書類を作成し、申請がスムーズに進むようサポートします。
申請書や理由書の作成には経験が必要であり、書類の不備を防ぐためにも専門家のサポートが有効です。
次に、審査上不利になる事項がある場合、状況説明書を作成し、合理的な説明を行います。たとえば、過去に交通違反や軽微な犯罪歴がある場合、その経緯と改善状況を詳細に説明することで、審査官の理解を得ることができます。
また、審査期間中に必要となる追加資料の提出にも迅速に対応します。
入管からの追加資料の要求に対して速やかに対応することで、審査の遅延を防ぎます。
さらに、永住許可申請に関する全般的な相談にも対応しております。
申請準備の段階から、許可取得後のフォローまで、当事務所がサポートいたします。
永住権の取得には入念な準備と手続きが必要ですが、適切なサポートを受けることでスムーズに進めることができます。永住権を取得することで、日本での生活がより安定し、将来の展望が広がりますので、ぜひ「行政書士法人タッチ」の利用をご検討ください。
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